この歌、はじまりの詩【九条天】 (ページ12)

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『 ――はっ、はぁっ、はっ』

キャップを深くかぶり眼鏡をかけた私は、家を飛び出し陰陽庁へと向かっていた

日頃レッスンで体力作りをしておいて良かったなとこういうときに思う

『っはぁぁ、ついたーーーっ』

一応周りを見渡して改めてキャップを深くかぶり直して陰陽庁へとはいる

最初に出迎えてくれるのは陰陽庁の受付嬢の志穂さんと鳴海さん

この二人は小さい頃からお世話になってるお姉さんたち

最近は仕事が忙しくて会えずにいたからちょっと嬉しい、なんて思ったり

『お久しぶりです、志穂さんに鳴海さん』

｢ Aちゃん？！お久しぶりです～｣

｢ビックリしちゃった！今日はなんの御用かしら？｣

『えっと、今ニュースになってることで

あーでも、独断で動いてるから内緒にしてほしいなぁ、なんて、あははっ』

｢あんまり危ないことしちゃ駄目よ？

私たちはAちゃんのような戦う力はないけれど、その分心配はするんだから｣

『 …うん、ありがとう』

｢はい、これがそうよ、もう内緒だからね？｣

『ありがとう志穂さん！』

｢何かあったらまたいつでもおいでね^^ ｣

『は～い』

もらった資料をバッグにしまい陰陽庁を後にする

『 …なんだか暗いなと思ったらそっか、今日は新月だったっけ

夜の闇が深いほど、尚更って感じだよね』

月の光が途絶える今日は

良くないものが動き出す

いろんなところから気持ちが悪いほど視線を感じる

こんな日は夢見も悪くなりそう

『さっさと帰ろう、今日はあまり出歩かない方がいい気がする… 』