こんな結婚聞いてない！story2

56話　揺らぐ思い ページ9

『ごめんなさい……私、真美さんには協力できません………』



私は頭を下げながらそう言った。ここ数日、考えて決めたことだ。ちゃんと伝えようと。



「なっ…………」



初めは動揺したような声を出していた真美さんだったが、私が顔を上げ、目を合わせるとさっきよりも、強い怒りが籠った目で私を睨んでこう言った。



「つまり、それは貴女、天馬様の事が好きってことよね？」



私はその言葉に大きく頷いた。



『隠していてごめんなさい……でも嘘を付き続けるのはよくないし、天馬様は…ゆずれないです…！』



自分の拳を握りしめて真美さんに負けないように堪える。私の言葉に真美さんの表情がまた変わり



「貴女が天馬様の事を好きだろうが、関係ないわよ。貴女は天馬様と婚約解消するべきね」



私がそんなの、勝手に決めないでください！！と言いかけるもその上に真美さんの言葉が被さる



「だって、これから貴女が天馬様と結婚したって、鵜宮家にプラスにならないと思うし。貴女、かなりトロいでしょケガレ祓いの時見てて思ったわ。会議とか出た時に失敗して鵜宮家に恥をかかせそうだし、第一、天馬様と釣り合いが取れて無いわよ！貴女と結婚したせいで絶対に天馬様が裏で言われたりするわ。天馬様も心の中で迷惑だと思っているわよ」


『ﾂ……………』



言い返す言葉が無かった真美さんの言っていることは正しい。私が失敗したら鵜宮家に汚名が被さる。
そして、最も私の心を揺さぶったのは天馬様が私の事を迷惑だと思ってきるということだ。もしかしたら、最近素っ気ないのはそう思っているからじゃ…………

思考がどんどん暗い方向に行ってしまう。
そんな私を他所に真美さんは



「とにかく、婚約解消をすることね」



という言葉とお金を残して店を出て行った。

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