泣きたくなったら。7/13 ページ3
「・・・ひっく、っ、・・・」
色んな事が積み重なって降ってきた日だった。
頬伝う涙はとめどなくあふれた。
ガチャ
「・・・ただいま」
家に帰っても、電気は付いてないし,寒いまま。
ひとり。
慰めてくれる人もペットもいない。
冷たい床に乱暴にカバンを置いた。
「おかえり」
暗い中、冷たい床に寝そべっていたのは。
「・・・お兄ちゃん」
赤茶色の髪をしたお兄ちゃん。
「どーしたの、泣いてなんか」
息が、詰まった。
「なっ、泣いてなんか、ないし・・・」
「嘘。これは?」
すっと起き上がり、私の頬を細い指でなぞった。
「・・・っ」
言葉が出なかった。
お兄ちゃんには、私の気持ちが全部筒抜けなのかも。
「バーカ」
へっ?
「バカ、泣きたいなら泣けよ。Aはすぐそうだろ?」
ふわりとお兄ちゃんの腕が背中に回って、ぐっと引き寄せられた。
「あんま無理すんな」
ポンポン
頭をぽんと叩かれた。
いつもなら「子ども扱いしないで!」って怒るところだけど。
今日はそう思わなくて。
「・・・ひっく、んっ、うわぁぁん・・・」
三十分ほどそうしてただろうか。
「A、もう落ち着いたか?」
「・・・うん」
過ぎると、少し恥ずかしい。
「なぁA、泣きたくなったらいつでも来いよ?俺が抱きしめてやる」
「うん・・・・・・って、はぁ?要らんよ!」
ふっと、お兄ちゃんから笑顔が消えた。
「それだよ」
「えっ?」
「A、やっと笑った。ちゃんと笑えよ?お前笑顔は可愛いんだから」
頬をすっと撫で、「じゃあね」とお兄ちゃんは自室に戻ってしまった。
「バカ・・・、好きになるじゃん、」
少しだけお兄ちゃんを憎く思った、平日の午後だった。
泣きたくなったら。の説明のようなもの。→←夕日染まる図書室。の説明のようなもの。
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