【南沢篤志】Happy Sweet Life【短編集】 (ページ4)

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Summer. ページ4

「あれ？エッ、ちょっと……。」

うだるような暑さの7月中旬。外では元気にセミが鳴き、遊びに行く子供たちの声が聴こえる。

「……朝からどうしたんだ？」

「あっくん、ちょっと……。」

2人揃っての休日、先程起きたのか少し眠たそうな顔をした彼がこちらにやってくる。そして私は手元に持っていた物を渡す。

「リモコン？」

「実は……。」

暑い夏に、悲劇は訪れる。

「……これはダメだな。」

その後脚立を出し、エアコン本体のスイッチをポチポチと押す彼。
不幸なことに昨日までついていたエアコンが突然壊れてしまったのだ。しかも本体ごと。

「とりあえず買ったところの電気屋さんを呼んだんだけど……、発注が多いみたいでちょっと来れないらしくて。」

「この暑いのに無しと……、いつの時代かよ。」

「はあ……。なんで壊れちゃったんだろう。最悪だよ。」

窓は空けているが、それでも夏は夏。熱波の入る部屋は暑くて仕方なかった。

「仕方ない、気分転換しないか？」

「気分転換？」

「A、夏といえば？」

「……暑い？」

「そうだな……。暑いといえば涼しさ。
涼しさと言えば？」

「うーん……。海？」

「正解。」

「え？」