いや、私の関西弁とちゃう。 (ページ13)

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侑side

せやけど、俺が声かけたのに何も変わらん態度で話を続ける女。

それが、普通やけど久しぶりに感じた。

そのなんとも言えん気持ちと女の笑顔が離れんくなって、気付けば"好きやなぁ"と思えた。

恥ずかしい思考を懸命に振り払おうとしたら、女の口から宮くんと、俺の名前が零れた。

一瞬にしてさめた。

なんや、こいつも知っとったんか、と勝手に裏切られた様な気持ちになった。

勝手に一目惚れして、さめて、裏切られた気持ちになって、

"耳障り"

と彼女を否定した。

その後も彼女を他の女共と同じように扱って、

角名を通してバレー部に近づくつもりやろ、と彼女がそんな事をするわけあらんのにな。

あん時の俺はとにかく一目惚れしてしまった自分への嫌悪を彼女の所為にした。

よくわからんまま、一緒に食べることになった昼飯。

広げられたレジャーシートの上にある彼女の弁当を嬉しそうに、楽しそうに食べる角名と秋空。

なんやねん、と不機嫌になる俺に差し出されたおかずをを黙って食べた。

おかんの作る飯が1番上手いとずっと思っとった。

…絶対言わんけど。

そう思っとった俺には彼女の飯が美味すぎて、

あぁ、これが胃袋をつかまれるちゅーことなんかなって呑気に思った。

どう？と首を傾げる彼女の表情はあん時一目惚れした時と同じ笑顔。

彼女のことをまた好きになった瞬間やった。