６ 鳴宮side ページ7
鳴宮side
自転車をこぐ足が重い。あの頃のことが頭から離れない。息が苦しい。
立ち止まって息を整えようともうまく呼吸ができない。
”中てようと思うから離れちまうんだろ”
そんなこと、言われなくてもわかっているのにっ
汗が頬に伝うのが気持ち悪い。
拭おうと思った時だった、
「はぁぁぁ！やっと追いついたー！」
俺と同じように自転車にまたがり息を荒げた女子。
追いついた？いつから追いかけられていた？
「あの…？」
「すごい汗だよ、はいっ」
渡されたのは可愛らしいとは言い難いシンプルなハンカチ
流れで受け取ってしまった俺はおとなしく借りた。
「洗って返すよ…で、相楽さんは…」
「あれ？私の名前知ってたの？
「まぁ、同じクラスだし…相楽さん今日楽しそうに色んな人と話してたから…」
まじかとこぼした彼女の反応をみるからして同じクラスと認識されていなかったようだ。
気にならないような、悲しいような。少し複雑な気分だ。
「ごめんごめん、面と向かって自己紹介しないと覚えられないタイプで…改めて私は相楽 心音！相楽でも、心音でも好きに呼んで？なんなら心(ココ)って呼んでくれてもいーよ！」
じゃあ、相楽でというとえーと少し不満そうに頬を膨らませた彼女に笑えた。
「俺も好きに呼んで。で…相楽は何で俺を追いかけてきたの？」
「それはー… −カァン！ パシッ
空をかけぬけるような、あの音。
相楽が話している途中にも関わらず俺は引き寄せられるように神社の階段を上り鳥居をくぐった。
彼女もついてきているようだが、気に留めることなく何度も聞こえるあの音の方へ足を進めた。
着いた先は弓道場で、真ん中で弓を引いている人がいた。
…なんて…なんて美しい会
ーパシュン
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作者名：銀河 | 作成日時：2019年2月1日 21時
