ツルネー風舞高校弓道部ー (ページ31)

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朝練をするためにいつもより早く学校について、道場へ向かう。

湊は先に来ていてちょうど着替え終わったところだった。

「湊おはよー！」

「おはよう、相楽」

「私もすぐに着替えるねー」

「ん、先にモップかけてる」

了解と返して更衣室へ入った。

帯を締めると気持ちも引き締まる気がする。

腰まで伸びた髪を高い位置で一つに結って、鏡の前でニコッと笑ってみる。

”今日も楽しく、私らしく。”

これは中学二年生になってすぐくらいからの自分に言い聞かせるための呪文だった。

これをしないとうまく笑えない気がするし、弓を引けない気がした。

私のモットーはとにかく”楽しく”だった。

中学から始めた私は自分が思ってるよりもどっぷりと弓道にハマって、

自主練をすることによって初心者とは思えない程成長が早く

期待の星だなんて当時の顧問の先生に言われた。

自分でも驚くほど成長していたと思う。

夏までの筋トレや基礎練習を終え初めて射場に立った時の一本目

先輩の御指導があったものの、二本目を引いた時には初中りを達成して、その次の日には自分で的を狙えるようになっていた。

同期も先輩も凄いね、なんて褒めてくれていたけど

一月くらいにはどこか私と距離を置くようになっていた気がする。

普段の学校生活ではそんな態度を見せないのに、部活の時だけ。

それでも、弓が好きだし、先輩のことも同期のことも大好きだったから、私はあまり気にしないようにした。