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学校の帰り道。見上げた真っ黒の空の上で数えられないくらいの星が瞬いている。

あの手紙を聞いた後は、授業なんてまともに受けられなかった。一日中、なにも考えられなかった。

どうやら、生まれつきの心臓病で長く生きられないと医者に言われたらしい。中学生の頃、そうはっきり言われて、毎日のように泣いたそうだ。でも、笑っていた方が楽しい、そう気付いたと書いてあった。・・・だからアイツは毎日笑っていたんだ。

そして最後に、みんなはこれから先長いから、人を傷つけず、お互いに助け合ってユメをかなえて下さい、と担任がぽろぽろ涙をこぼしながら最後の1行を読んだ。


実感がわかない。いきなり死んだなんて聞いたって、なんで言ってくれなかったんだろうと、カタチのない悲しみが込み上げてくる。

もう季節は冬に変わろうとしていた。



寒いな、と思いながら制服のポケットに手を突っ込むと、何か手にあたった。

帰りに担任からもらった1枚の紙切れの存在を思い出す。取り出して、街灯の下へ行き、恐る恐る広げた。

そこに書かれていた細い文字を見た瞬間、もうだめだった。





今までありがとう。黙っててごめんね。手塚くんとしゃべるのすごく楽しかった。好きでした。





あれ、雨が降ってきたのかな、紙の文字がにじんでるよ…――いや違う、これは涙だ。



今さら両想いになれてどうすんだよ、俺辛いじゃん…そう思いながら地べたへしゃがみこむ。



子供みたいにわんわん鳴きたい気分だった。だが、さすがに家が立ち並ぶここでは出来ない。

それすら許されないのか、と思い神様を恨む。


ふとあの日の放課後を思い出した。


――だからアイツはあのときどこか淋しそうな笑顔をしたのか。





会いたい。もう手の届かない存在になってしまったと分かると、辛くて胸が張り裂けそうだった。





俺、お前に好きって言いたかったよ。





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fin.

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設定タグ:病系 , 切ない話/泣ける話/恋愛 , 名前変換オリジナル   
作品ジャンル:泣ける話, オリジナル作品
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BERU - すごく感動しました。私は大切な人を失うという感覚はわかりません。もし大切な人を失ったら私はその時何を思うんでしょう(><)でも大切な人は失いたく無いです。これからも大切に毎日毎日生きていきたいと思います。 (2018年7月8日 20時) (レス) id: b33c82a94e (このIDを非表示/違反報告)
柴崎 彼方(プロフ) - ive kanadaさん» コメントありがとうございます。読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m (2018年5月7日 0時) (レス) id: a8ce4c24a2 (このIDを非表示/違反報告)
ive kanada - 切ないですね。実は私も、昨年の夏に大好きな彼を失いました。辛いですよね。次の作品も頑張ってください。 (2018年4月29日 21時) (レス) id: d2d4448e52 (このIDを非表示/違反報告)
柴崎 彼方(プロフ) - 無気力零架さん» コメントありがとうございます!そうなんですか…(><) (2017年4月3日 0時) (レス) id: a8ce4c24a2 (このIDを非表示/違反報告)
柴崎 彼方(プロフ) - 雷斗さん» 嬉しいコメントありがとうございます(*^_^*)頑張っていきたいとおもいます! (2017年4月3日 0時) (レス) id: a8ce4c24a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼方 | 作成日時:2015年3月26日 22時

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