四十六 ページ46
「嫌やってー！」
大声が聞こえてきたので目を向けると、四人に手や体を拘束され必死に抵抗しているしげがいた。
その足元には巨大な穴が空いている。
ああ、なるほど。
埋めようとしてるんか。
ええぞ、もっとやれ。
「何で俺なん！？」
しげが抵抗するも四人もいればさすがになすすべもない。
ずるずる引きずられ、穴に寝ころばせられる。
「日頃の行いや！」
「そういう事や。」
「残念やったな。(笑)」
「観念しぃ。」
のんちゃん、流星、照史がしげの体を押さえつけながらもせっせと砂をかぶせていく。
あっという間に砂に埋まったしげ。
「あ、おまけしとくな。」
流星が股間部分に山盛りの砂を積み上げる。
その姿に俺らも大爆笑。
「やーめーろー！せめて股間は取ってくれ！」
しげが大絶叫する中、�陲舛磴鵑呂靴譴辰箸修琉貮�始終をカメラに収めている。
「あー笑った笑った！」
まだ若干涙目な照史がこちらにやって来る。
流星もまだ笑いが抜けないようでニヤニヤしながら照史の後をついてくる。
「二人共、交代しようや。」
そう言ってペットボトルの水で喉を潤す流星。
飲み物飲んでるだけやのに様になってるのがちょっと腹立つ。
「ほな、お言葉に甘えて。」
少し顔がこわばっている神ちゃんを半ば強引に引き連れ、浜辺に向かう。
何とか自力で砂の中から抜け出したしげは体中についた泥を落としている。
「交代したんや。てか淳太って運動音痴やのに泳げるん？」
「水泳は出来るわ。見とけや。」
しげに煽られてちょっとムキになってしまった俺は、沖の方に向かって歩いて行く。
神ちゃんは浅瀬で海藻を拾って遊んでるみたい。
肩が浸かるまでの深さまで来ると、勢いよく海にダイブした。
久しぶりに泳ぐと気持ちがいい。
クロールから平泳ぎに変えて顔を出す。
「ほら、泳げるやろ」
って誰も見てへんのかい！
しげはのんちゃんとどこまで遠くまで泳げるか競ってるし。
一人で喋ってめっちゃ恥ずかしいやん。
しげのやつ、覚えとけよ……。
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作者名：かんた | 作成日時：2020年4月30日 23時
