陰陽五行説 (ページ37)

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「めっちゃ疲れたわ……。」

そう言いながら戻って来たしげの手には五枚のお札がある。

持っているというよりかは貼りついている感じだが。

「しげ、それ何で貼りついてるん？」

神ちゃんが不思議そうな顔で聞くと、額の汗を反対の手で拭う。

「飛んで行かんように唾つけといたんや。」

「えっ、汚っ。」

「汚い言うな！こうせんと逃げるんや！」

若干神ちゃんの顔が引きつっているのが面白くて思わず笑ってしまう。

笑っているのがバレたのか、俺も怒られてしまった。

「ほら、拝殿行くで。」

そう言った淳太も笑っているのを俺は見逃さなかった。

「かんざし……？おいおいおい！俺女ちゃうぞ！」

拝殿には赤色のかんざしが落ちていた。

もちろん家紋入りだ。

まさかの道具のチョイスに笑いが起きる。

照史なんて笑い過ぎて涙が出ている。

「まぁ、何か意味があるんやろ。」

そう言う流星もまだ少し笑っている。

しげはむくれながら正面を向いて叫んだ。

「朱雀！札は集めたけど、俺は女やない！」

赤い光に包まれ、気が付けば手のひらには赤色の朱雀が描かれていた。

神社からの帰り道、そういえば……と口を開いたのは照史だ。

「望は俺らみたいに守護獣ついてないやん？ほんならどこで試練受けるん？」

確かに。

全員同じ事を思ったようで立ち止まった。

自分の事なのにどこか他人事だったのかもしれない。

言われるまで全然気が付かなかった。

「皆で調べたら「俺ん家や。」

沈黙に気を使った神ちゃんの言葉を遮るようにして言ったのは濵ちゃんだった。

「え？」

「望が試練を受けるのは、俺の実家や。」

俺の目を見てもう一度そう言った。