陰陽五行説 (ページ36)

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三十六ページ36

『まぁ、今のあの子の力では無理な話やねんけどな。』

そう言い、胡坐をかいていた足を組み替える。

俺の力はそんなにも非力なのか。

わかってはいたけれど、人から言われると少しショックだ。

『あの子が本来の力を手に入れたら、三大怨霊は必ず事を起こす。除霊されるのを防ぐ為に。』

「俺らが力をつけると、自分らが除霊されてまうかもしれへんから邪魔してるって事か。」

『お、わかってるやん！大毅のくせに！』

笑いながらしげを肘でつつく。

何か大変な事になって来た。

興味本位で試練を受ける事にしたが、こんな大事になるなんて思ってもみなかった。

少し不安に思っていると朱雀がこちらを向いた。

『あんたは試練受ける気あるんか？』

俺の前にいた皆も振り向く。

ここまで皆で頑張って来た。

それに、俺らの力で地震や疫病を防ぐ事ができるのなら、やらないという選択肢は俺にはない。

「はい。受けます。」

そう答えた俺の目を見る朱雀。

しばらくの沈黙の後、再びしげに向きなおした。

『ほな頑張りや。』

そう言うと首が項垂れた。

と思ったらまた首を上げる。

『あ、後もう一つ。私やからええけども、女性にその口の利き方はあかんで！ほなな。』

朱雀って女性やったんや……！

「試練の前やのにめっちゃ疲れたわ。」

裏に移動しながらしげがそんな事をぼやく。

確かに、かなりカロリーを使う守護獣だった。

玄武の時との落差が凄い。

「ほな、開けるわ。」

そう言って箱に手を伸ばした。

「”朱色に染まりし五つの札を探すべし。ただし気をつけよ。札には魂が宿る。”」

試練を読み上げ、俺らの顔を見る。

すると丁度しげの後ろの柱に朱色のお札が貼られている事に気が付いた。

「あっ！しげ後ろ！」

俺がそう言うとすぐに振り返り、柱に貼られている札に手を伸ばす。

もう少しで指が届くというところで急にお札が空を舞った。

まるで鬼ごっこでもするかのように、しげの手をすり抜けていく。

「あっ！ちょっと待て！」

追いかけて行くしげを見て、これは時間がかかりそうだなと思った。