陰陽五行説 (ページ35)

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全体的に朱色に彩られた境内を見渡す。

ここは朱雀が祭られている神社だ。

五大元素の能力者の試練はこれで最後。

ここが終わるといよいよ俺の番。

と、その前にしげの試練だ。

鳥居をくぐったしげは赤い色のオーラみたいなものに包まれる。

いつもと違って真剣な表情で、前を見据えた。

「朱雀をお願い。」

口寄せが始まると、皆背筋が伸びる。

この瞬間は何回やっても慣れない。

項垂れていた濵ちゃんの頭が上がる。

『やっと順番が回って来た！待っててんで！』

関西弁や。

まぁ昔の首都は京都やったもんな。

おかしくはないか。

『大毅はほんまに小心者やなぁ～。』

「ちゃうわ！流星に先譲っただけや！」

『嘘つけ！この阿呆！』

「アホって何や！アホって言った方がアホなんです～！」

おいおいおい、守護獣と喧嘩始めたで……。

前にいる四人もお互いに顔を見合わせて呆れかえっている。

『ほんで？試練受けるんやろ？』

朱雀がふんぞり返りながら聞く。

しげは若干悔しそうな顔だが、素直に頷く。

それを見た朱雀は真剣な表情になり、しげに顔を近づけた。

『ええよ。しかし、あんたら全員が本来の能力を手に入れただけやったら何も解決せぇへんで。』

「どういうことや？」

しげが疑問を口にすると、朱雀は一つため息を吐いた。

『三大怨霊って知ってるか？』

三大怨霊とは、平将門・菅原道真・崇徳天皇の三人の事を指す。

この三人は非業の死を遂げた事で有名だ。

しげもさすがに知っているようで首を縦に振る。

『最近地震多いやろ？それは全部この三大怨霊の怨念や。』

朱雀によると大地震や疫病などはこいつらの怨念らしい。

そして、この三大怨霊を除霊しない事には日本全体の災いは続く。

大事になる前に除霊しなければ、大変な事になるそうだ。

「そんな話……信じられへん。」

『まぁそうやろうな。ただ、最近地震がここいらでも頻繁に起きてるのは、あんたらが本来の能力を手に入れて来てるからや。』

「俺らが本来の力を手に入れる事と、そいつらに何の関係があんねん。」

朱雀はまた一つため息を吐いた。

『あの子や。あの子が本来の力を手に入れたら困るんや。』

そう言い、俺を指さした。