陰陽五行説 (ページ32)

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三十二ページ32

「運命の輪は幸運、成功、無限のひろがりを意味する。大丈夫や。困難にぶつかるけど、勇気を出せば最終的には上手くいく。」

そう言ってにっこり笑う。

ホッとした様子だ。

「勇気か……。」

「試練の事考えてるんやろ？」

そう言われてハッとする。

そうだった。

濵ちゃんは人が考えている事が少しわかるんだった。

だから占い師の中でも占いが当たるし、一番人気なのか。

「時間や。ほなまたサークルでな。」

一人で納得していると濵ちゃんがそう言う。

横に置いていた鞄を持ち、席を立つ。

「ありがとう。」

そう言うと、いつものように微笑んでくれた。

「どうやった？」

占の館を出て、夕食に何を食べるかを考えながら道を歩く。

姉は興味津々で占いの事を聞いてくる。

「”困難にぶつかるけど、勇気を出せば最終的には上手くいく。”って言われた。」

多分これは試練の事だろう。

でも姉にはそんなこと言えない。

「良かったやん！ほんなら一安心やな。私はさ、”親切な助言を聞こうとせぇへんのが良くないから、そこを改善したら成功できる”って言われてん。」

よくぞ言ってくれた！

濵ちゃんに心から感謝した。

そう、姉は人の話を聞かないのだ。

「やから、これからはちゃんと人の話を聞くようにするわ。占を百パー信じてるわけじゃないけど、こういうのがきっかけになったりするやろ？せやから今日言われた事が私にとってのきっかけや。」

占いの結果は自分次第でどうにでもなる。

ただそれをきっかけに自分が変わるか、変わらずにそのままなのか。

それを考える事自体に意味があるんだなと思った。

占いに良いイメージをもっていなかった事を少し後悔した。

でもそれは濵ちゃんが占い師だったからこそ、自分の考えを改めるきっかけになったのだ。

きっと他の占い師であれば『はぁ、そうですか』と話を右から左に聞き流していた自信がある。

「あ、ここ！美味しいって評判のラーメン屋やん。望、晩御飯ここでいい？」

いつもなら有無を言わせない姉だが、さっきの濵ちゃんの言葉に影響されたようだ。

俺に確認を取るなんて珍しくて気持ち悪い。

「ええで。」

そう言うと、暖簾をくぐる。

店員さんの元気な声が俺たちを迎え入れてくれた。

「いらっしゃいませー！二名様どうぞ！って望やん！」

人一倍大きな声で迎え入れた店員さんは照史だった。

ラーメン屋似合うな。

今日は知り合いによく会う日だ。