十七 ページ17
守護は何かを訴えたい。
でも守護者とは喋れない。
だからこそ口寄せのできる�陲舛磴鵑肪�らせろと訴えていたという事か。
「青竜を、口寄せ……。」
神ちゃんが思わずつぶやく。
口寄せとは簡単に言うと、霊を自分に憑依させて、霊の代わりにその意志などを語ることができるとされる術らしい。
青竜は神ちゃんの守護獣だ。
自分の守護獣と喋れるとわかり、期待に満ちた表情をしている。
「口寄せしている間、俺の記憶はない。後、口寄せ後数分は目を覚まさない可能性もあるからその時は起こして。」
それでもやるか？
そんな表情の�陲舛磴鵑法�俺らは顔を見合わせる。
「わかった。お願い。」
神ちゃんが真剣な表情で言った。
口寄せをすると決まってからは眩暈は収まったようだ。
やっぱり青竜は何かを話したいのだろうか。
口寄せといえば、イタコとか巫女などが有名で、女性がするものだと思っていた。
しかもまさか実際に見れるなんて思ってもいなかった。
俺以外のメンバーも同じように少しワクワクしているみたいだ。
足取りが軽い。
本殿の前まで来ると、俺は皆より後ろにいるようにと言われた。
除霊の力を持つ俺が前にいると、青竜を除霊しに来たと勘違いさせると危ないからという事だ。
�陲舛磴鵑倭蠹�な場数を踏んでいるようで、かなり手馴れている。
俺とは正反対だ。
そんな姿を見て、素直に皆より離れた一番後ろに立った。
「神ちゃん、前に。」
見るからに普通ではない大きめの紫色の数珠を取り出し、向かい合って座った。
これから口寄せが始まる。
皆息を飲む。
「誰を呼ぶ？」
「青竜を。」
一度だけ神ちゃんの目を見た後は、目を瞑り呪文のようなものを唱え始めた。
何を言っているのかはわからないが、手に持っている数珠が擦り合わさり少し不気味だ。
最初はブツブツと言っていたが、少しすればトーンが上がり、更には叫ぶような声を出す。
すると、急に力が抜けたようでカクンと項垂れた。
しかし次の瞬間、明らかに�陲舛磴鵑箸楼磴γ�かの気配がして、背筋に冷たいものが流れた。
……これが青竜。
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作者名：かんた | 作成日時：2020年4月30日 23時
