十三 ページ13
「っ……！」
練習の成果か、十分くらいは結界を維持できるようになってきた。
最初は半径一メートル程だったのが、今では三メートル程まで伸びた。
これなら以前のように霊に遭遇しても、皆を守れそうだ。
皆が近くにいればの話だが。
少し休憩しようと冷蔵庫からペットボトルの水を取り出す。
一気に喉に流し込むと、冷たくて気持ちがいい。
そう言えば、サークルの中でも唯一能力者かどうかわからないのが�陲舛磴鵑澄�
淳太と照史だったらもしかしたら知ってるかもと思ったが、二人とも知らないらしい。
少なくとも照史が能力者だと判明した時は、霊は見えていなかったはず。
それは三人が一回生だった時の話。
その後能力が発覚したかもしれない。
現に俺が見えた時は、�陲舛磴鵑盡�えていたからだ。
流星達にも聞いてみたけれど、知らないと言われてしまった。
聞き役に回る事が多い為、自分の話はあまりしないらしい。
確かに、サークルのメンバーでいる時に自分の話をしているところをあまり見ない。
考えれば考えるほど怪しく思えてきた。
もし�陲舛磴鵑�能力者だとすると、陰の能力者の可能性が高い。
でも、そもそも陰は良いイメージがない。
暗かったり、悪者や嘘くさいイメージだ。
良いイメージしかない�陲舛磴鵑�、陰の能力を持っているとは考えにくいか。
っていうか、七人中六人能力者っていうだけでも十分凄い。
でもここまで能力者が集まってるのも違和感がある。
「うぅぅぅぅ！わからん！」
考えれば考える程、頭がこんがらがってくる。
無造作に頭をかきむしると、もう一度水を口に含む。
「とりあえず、明日やな。」
そう、明日はサークルメンバーとパワースポットに行く予定になっている。
俺が陰陽師の子孫とわかって、パワースポットにいる怨念を放つ霊を除霊していくことにしたのだ。
上手くいけば卒論もこのテーマで書けるかもしれない。
自分の能力が生かされるチャンスでもあり、良い事づくめだ。
長く休憩しすぎた。
寝る前に毎日行っている練習だけど、今日は考え事をしてしまったからあまり集中できなかった。
こういう日は早く寝るに限る。
早々と布団に潜り込み、目を閉じた。
明日は何事もなく無事に帰って来れますように。
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作者名：かんた | 作成日時：2020年4月30日 23時
