近くて、遠い。 -鮎川奏多- P2

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A「奏多…？」









奏「眠い、」









分かりやすい嘘で
誤魔化そうとするなんて馬鹿か。









A「ねえ」







奏「なんでだろうな。俺望んでたのに、」









奏「俺は彼奴が幸せになれるようにって望んでたのに」









奏「やっぱやなんだよな〜」









A「…なんでよ」





A「だったらなんで、応援したの」









上を向こうとした奏多の頬を両手で包んで




まっすぐと目を見つめた









奏「A…？」









A「そうやって奏多が苦しむなら！応援しなきゃ良かったじゃん！」









奏「好きな人の幸せを願うのは…普通だろ？」









その通りなの、

その通りなんだけど









私は嫌だ





好きな人が苦しむ姿なんて、
見たくもない。









奏「美麗は昔からずっとハルカを見てきた。俺なんかがハルカに勝てるわけないんだよ」









A「…そうだね。」






A「結局、そうなんだよね」









奏「え？」









A「その人にとったら自分の好きな人は一番だし、他の子になんか目もくれない」









私は美麗に勝てない。
奏多はずっと美麗が好きだった。









A「だから、奏多だって」







A「誰かが奏多を好きだって言っても、結局は美麗が1番なんでしょ」









想いを伝えても、
何も変わらないんだって






私は思う。

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