捌 ページ10
「困ります 不死川様！
どうか箱を手放してくださいませ」
そんな焦る隠の声と共に、不死川さんが現れた。
また傷が増えている。痛々しい…。
そして、恐らく鬼が入っていると思われる箱を片手に持っていた。
「鬼を連れていた馬鹿隊員はそいつかいィ。
一体全体どういうつもりだァ？」
_______風柱・不死川 実弥
私は密かに目を伏せる。
苦手なのだ。嫌いではない。ただ、少し、 育手 と似ているから。
羽織の中で、再度切った腕を掻き毟った。
「(不死川さん
また傷が増えて素敵だわ)」
「胡蝶様、
申し訳ありません…。」
隠が胡蝶さんに言う。声で分かる。
焦り、相当顔が青ざめているんだろう。胡蝶さんは怒ると恐いから。
「不死川さん、
勝手なことをしないでください。」
「(しのぶちゃん怒ってるみたい。
珍しいわね。
カッコイイわ。)」
「鬼が何だって？
坊主ゥ。
鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ？
そんなことはなァ」
「ありえねぇんだよ馬鹿がァ」
ドスッ
醜い音がした。何かを刺したような音。顔をあげ、不死川さんの方を見る。
「…っっ」
箱が、不死川さんの刀によって貫かれていた。血が、滴っている。
息が、できない。
呼吸が荒くなる。
辛い 可哀想 痛そう 泣きたくなる 縛られている子も可哀想 辛いでしょう 呼吸ができないほど 嗚呼辛い 私には何も出来ない 痛い 悲しい 哀しい
それに、不死川さん…。
あの人と、似すぎている。
勝手に思っている私が悪いのに、
どうしてもそんな顔しないでと思ってしまう。
お願い、もうやめて。
私が、耐えられない。
ヒュッ
次の瞬間、縛られていた隊士が不死川さんに向かって駆け出した。
「俺の妹を傷つける奴は
柱だろうが
何だろうが
許さない！！」
彼はそういい、不死川さんへ突っ込んでいった。
どうして、あの子はあんなに怒れるのかしら。
あんなに真っ直ぐに、上官に向かっていけるのかしら。
どうして私は、悲しむことしか、できないのかしら。
雨のように悲しみで冷たい心と真反対の少し温かい涙が、皮肉そうに頬に伝った。
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蔚 - ゆきえさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2019年11月3日 23時) (
レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
蔚 - ゆきえさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2019年11月3日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえ - こんばんは、読んでみたら凄く好みでした。更新頑張ってください！ (2019年11月2日 22時) (レス) id: 7a259da409 (このIDを非表示/違反報告)
蔚 - 零さん» コメントありがとうございます！！ すみません！直しておきます！ (2019年10月16日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - コメント失礼します！富岡さんは「富」ではなく「冨」ですよ。これからも頑張ってください！ (2019年10月16日 23時) (レス) id: da18fbc248 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蔚 | 作成日時：2019年9月9日 22時
