悲哀ノ呼吸 【鬼滅の刃】

肆拾弐 ページ44

縄は、チクチクして首にむず痒さを覚える。





　
　
　
こんなときになって、変な事を考える。






縄は、私が背伸びをした状態で丁度の長さ。


体が、立ち続ける事を辞めぬ前に。







　
　
　
　
　
　
　









私には、恐らく何かが欠如しているのだろう。







人が生まれつき持っていなければいけない何かを。





感情の類いか、何かは知らないが。









　
　
　
　
きっと、生まれるべきではなかったのだ。









　
　
　
　
　
　
　
　
　


悲しみからしか、哀しみからでしか、









自分の価値を見出だすことの出来ない。









　
　
　
感情でしか、動けない。






負の感情でしか。









　
　
　
　
　
辛いよ。


痛いよ。


悲しいよ。


寂しいよ。


苦しいよ。


泣きそうだよ。


こんなの重いよ。持てないよ。私にこんなの持つ権利なんてないよ。









　
　







期待しないでよ。


優しくしないでよ。









　
　
















気づけばもう、私には何の音も周りも入ってきていなかった。









もう、









「あっ、すみません…。部屋間違えまし、



ｷﾞｬｧｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！何してんの！？何しちゃってんの！？」









辞めよう。






足も、心も、疲れてきた。

あとは、力を抜くだけ。








「誰かｧｱｱｱｱｱｱｱｱｱ！！！



ちょ、駄目だよ！！駄目！！」







私は、ゆっくりと目を閉じて、









「うるさいぞ！！善逸！


って、何してるんだ！！！！」









身体の全ての力を抜いた。









　
　
　
身体はふわっと、沈み、縄が首を支え、私の頸動脈を絞めた。

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