肆拾 ページ42
女性と赤ちゃん、二人の首を切り落とした瞬間、全てが崩れた。
足元が割れ、身体が堕ちていく。
「…A、●●●●●●」
え…?
私はバッと上を向く。
あの女性、何て言った…?
だが、時すでに遅し。
女性の姿はとうに見えなくなっていて、
でも、はっきりと頭に残ったその言葉に、何故か涙が溢れた。
「…っっ!!
…ハァ、ハァっ、ハァ」
…目を開けると、そこは先日から泊まっていた蝶屋敷だった。
…私は、眠ってた?
え、何で…?
「…あ!Aさん!良かったです。目が覚めたのですね。」
「…え、と。」
胡蝶さんはにっこりと笑ってこの状況をまだしっかりと把握出来ていない私に言った。
「Aさんは、昨日の任務で鬼気術にかかってしまったんですよ。」
そうか、鬼気術だったのか。
夢にしては少し変だったもんなぁ。
「…そう、でしたか。
すみませんでした…。」
面目ない…。柱であるのに、鬼気術にかかり、しかも運ばれるとは…。
しかも、毎度毎度本当に申し訳ない…。胡蝶さんに多大な迷惑を…。
「いえ、全然大丈夫ですよ。
鬼気術にかかってしまわれたのも、Aさんだけでしたし。」
…柱だけ、って。
本当に私は柱失格だ…。やはり、柱をやめよう。もう、駄目だ。
皆さんに迷惑しかかけられないし。
…もう、無理だよ。
私のそんな気持ちと正反対の笑顔で胡蝶さんは、言った。
「今回の鬼の鬼気術は、
相手に起こった現実と、正反対の事を相手に現実と思い込ませる、
まぁ、簡単に言えば現実で起こった反対の事を相手に現実と錯覚させる、
というものでした。
そして、そのからくりに気づけない限り、現実に戻ってこられない、という仕掛けもありました。」
…では、今回は女性と赤ちゃんの首を斬る事がからくりだったのか。
それでも、からくりだと聞いても、人を斬ってしまったという、何かが私の心にのしかかっていた。
あのとき私は、躊躇いなく斬ってしまった。
私は、もう人として終わっているのだ。
「で、Aさん。
それはどんな内容であったか、からくりはなんだったか、を詳しく話してもらえませんか?」
私は、少し躊躇ったが、最初に鬼を倒した時から、隊員に影口を言われたことなど、色々細かなところも喋った。
全て話し終わると、胡蝶さんはお大事に、と部屋を出ていった。。
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蔚 - ゆきえさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります! (2019年11月3日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
蔚 - ゆきえさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります! (2019年11月3日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえ - こんばんは、読んでみたら凄く好みでした。更新頑張ってください! (2019年11月2日 22時) (レス) id: 7a259da409 (このIDを非表示/違反報告)
蔚 - 零さん» コメントありがとうございます!! すみません!直しておきます! (2019年10月16日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - コメント失礼します!富岡さんは「富」ではなく「冨」ですよ。これからも頑張ってください! (2019年10月16日 23時) (レス) id: da18fbc248 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蔚 | 作成日時:2019年9月9日 22時