悲哀ノ呼吸 【鬼滅の刃】

参拾陸 ページ38

今日は、自分の家に帰った。





あの後は、詳しく覚えていない。

何人か犠牲になってしまったにせよ、十五人位は生き残っていたから、
怪我人以外はもうさっさと帰ってしまったし、


あの人達も。






怪我人も隠の方々に運ばれていくのをちゃんと見届けてから私は帰った。









なんか、何もないな。



久しぶり、といっても何日かぶりの我が家は物は殆ど無く、


空虚な、私のような、感じであった。








縁側のある少し広々とした部屋に入る。





胡蝶さんのところでお世話になっていた頃は、誰かの声がいつもしていた。




…とても、あたたかかった。








　
　
　
　
　
　
　
　


でも、私には駄目。


私はそんなものを持っていたら駄目。


私は、幸福など感じていい人間じゃない。









そんなことを、忘れてしまっていたんだなぁ。





壁に寄りかかり、三角座りをする。
ぎゅっと膝をかかえた。




　
　
　
　

　
　

　


　



　
　

　

　





　
　
　
　









柱の皆さんはいい人だから、

優しい人だから、


私にも、あんな風に接してくれるけど、






本当にそういう風な訳じゃなくて。


私が、少し勘違いしてて。







浮かれてて。









皆さんといる時どういう風に振る舞えばいいんだろう、なんて




どこかあたたかくて、むず痒いことを悩んじゃったりして。

　
　
　
　
　
　
　








　
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　


皆さんには、最後までいい人でいてほしいから。









　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

だから、私から、ちゃんと、


離れます。









今日は、報告書書きたくないなぁ、なんて思ったりしながら、



あの、あたたかい思いを恋しがらないように、









部屋の隅で、寒さに凍えるように、顔を膝に沈めた。

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