悲哀ノ呼吸 【鬼滅の刃】

弐拾参 ページ25

宇随side


胡蝶が、泣いていた。
まぁ、本人も冨岡にいわれるまで気付いていなかったが。




あいつも、派手に泣くことあるんだな、と
何故か上手く働かない頭で思う。



　


　






　
　
　
　
そうだよな。

俺達がこんなにショックを受けたんだから、実際に見た彼奴はもっとショックが大きかった筈だよな。


　


　

俺は、何も出来てなかったんだなぁ。と、

柄にもなくそう思ってしまった。








出来ている、と。


出来ている筈だ、と。








　
　
俺は、ポンッと胡蝶の頭に手を乗せた。



ただ、何も言わないで。







　




　





　


もっと、声をかけてやればよかった。

もっと、相談に乗ってやればよかった。

あいつの呼吸を知ったとき、

もっと、親身になって何か言ってやればよかった。


＿＿そんなことしなくても、自分を傷つけなくても、お前なら派手に強くなれるぜ。


と。






　





　








　
　
　
　
そんなこと、今地味に後悔したって派手に遅いのにな。

今の俺には、自嘲気味に笑う余裕しかなかった。





「…うむ！
いつまでもこうしていても仕方がない！
それにこれからだって出来ることはある！さあ、早くいこう！
哀透少女はずっと待っているぞ！」


「…アァ」


「…あぁ、行こう。」

俺は、そういって、
軽く胡蝶の背中を叩き、行くぞ、と声をかけ、歩き出した。





　


　


ああ、やっぱり俺は、煉獄みたいにはなれねぇな。






　







　






　




　






　






　





　


今日の俺はつくづく派手じゃねぇ。

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