弐拾弐 ページ24
しのぶside
煉獄さんが、Aさんに先に店に行くように言った。
流石だなぁ。と、思いながら、私はAさんの傷を思い出していた。
傷のない場所等ないのではないかと思ってしまうほど、傷に溢れていた。
どれも深く傷つけられていて、跡も酷かった。
皆さんにどう伝えればいいのでしょうか。
「もう哀透は行っただろう。
早く済ませよう。」
伊黒さんが言った。皆さんが円を作るように集まる。珍しく、冨岡さんや不死川さんもまだ残っていた。
こんなにも、皆さんに愛されているのになぁ。
ああ、顔が崩れてしまいそう。
駄目よ。しのぶ。泣いては駄目。
頬がひきつる。
「チッ いつまでもウジウジしてたってしょうがねェ。
おい胡蝶。彼奴の腕はどうだったんだァ？」
不死川さんの言葉に、皆さんが私の方を見た。
笑顔。笑顔を崩さないように。
私は、いつもの笑顔を必死に張り付けながら答えた。
「両腕とも、手首から二の腕まで夥しいほどの傷がありました。
全て深く傷つけられていました。」
皆さんの顔がひきつった。
ここまで酷いとは思わなかったのだろう。
実際私も見るまでは、ここまでなんて思っていなかった。
「…胡蝶の憶測でいい。
古くて、何年前だ。」
宇随さんが、普段からは考えられないほど暗い声で、この空気を破った。
「Aさんの今の年齢が十四歳。
入ったのが、二年前なので、恐らく四年前。十歳の時からかと。」
…まだ、養って貰ってもおかしくない年。
勿論、そういう世界だと分かっているし、
時透さんも十四歳。
あんなに、溜め込まなくてもいいと思うんです。
なんて、背地辛い世の中なんでしょか。
私は、この暗い空気を打ち消すよう、明るい声、明るい顔を絞り出した。
「まぁ皆さん！
こういう風にしていても仕方がありませんし、Aさんも待っています！
早く行きましょう？」
「…胡蝶。」
「…なんですか？冨岡さん。」
私の精一杯の努力が分からないのでしょうか。ほんっとにムカつきます。
私が、一言口を開こうとするよりも早く、冨岡は言葉を続けた。
「泣いているぞ。」
＿＿＿＿＿＿＿え？
慌てて顔を触ってみると、確かに私は泣いていた。
急いで袖で拭う。
「…っ、いけませんね。
柱ともあろう者が感情もコントロール出来ないなんて…。」
…ごめんなさい、姉さん。
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蔚 - ゆきえさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2019年11月3日 23時) (
レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
蔚 - ゆきえさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2019年11月3日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえ - こんばんは、読んでみたら凄く好みでした。更新頑張ってください！ (2019年11月2日 22時) (レス) id: 7a259da409 (このIDを非表示/違反報告)
蔚 - 零さん» コメントありがとうございます！！ すみません！直しておきます！ (2019年10月16日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - コメント失礼します！富岡さんは「富」ではなく「冨」ですよ。これからも頑張ってください！ (2019年10月16日 23時) (レス) id: da18fbc248 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蔚 | 作成日時：2019年9月9日 22時
