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拾弐 ページ14

ガシッ
不意に腕を捕まれた。
おかげで倒れなかった。

私なんかを支えることになり、申し訳無さで心が痛くなるが、目の前がまだ暗いままなので、御礼を言おうにも誰だか分からない。

「すみま、…せん。」

出せる声の最大限を使い、言った。
それが、限界であった。


「うん
急に倒れないで。ホントに、柱?」

助けてくださったのは、時透さんだった。

…その通りだ。
こんな柱…。


視界がまだましになってきたので、時透さんの手から捕まれていた腕をやんわり抜く。

「…すみません。
もう、大丈夫です。」

さっきより幾分かましなだけだが。
時透さんの目に耐えられなくて、では、これで。と去ろうとした。

 ガシッ
また腕を捕まれた。

急に上がった心拍数に落ち着きをかけながら、振り向いた。

「な、なにか…?」

時透さんは、少し私の顔を眺めた後、さらりと流れるように言った。


「あんたの呼吸的に仕方ない事なのかも知れないけどさ、手当てぐらいしたら?あと、爪とかも。」

ヒュンッと息が出来なくなった。
一気に体が冷めきり、心拍数だけが上がっていく。

捕まれている腕と、もう片方の腕を見てみると、
隊服の袖から血が滴った後のようなものがあり、爪は、掻き毟ったせいで、血がドス黒い色になってついていた。

顔が、青ざめる。

周りにはまだ、他の柱の方もいる。
呼吸が荒くなる。
どうしよう。どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。

その時、誰かの手が肩に触れた。

 ポンッ

「ビクッ)…胡蝶さん。」


「Aさん。
誰も貴女を責めたりしませんよ。
だから大丈夫です。落ち着いてください。」

彼女はにっこり笑ってそう言った。
それは、少し安心したけれど、
周りの柱の視線が恐い。

胡蝶さんは、私の様子を見て察したのか、

「とりあえず、私の屋敷で手当てをしましょう。
少し不安なので隠の人に連れていってもらいましょうか。」


と、言ってくださった。

「あ、………
はい。
でも、歩いていけます。
本当にもう、大丈夫なので…。」

私は、会釈をして、足はやに出ていった。




「…Aちゃん。またやっちゃったのね。」

「嗚呼、みたいだ。
こういう派手は好かねえな。」

「うむ。
少しは我々を頼ってくれたら良いのだが…。」

「…(何だろ、この嫌な感じ。…まぁ、いいや。どうせすぐ忘れるし。)」

「…嗚呼可哀想だ…」

「…おい胡蝶。
どれくらい酷いか終わったら俺達に教えろ。」

「はい。勿論です。
アレ、治ればいいんですけどね…。」

「…」

「…チッ」

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- ゆきえさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります! (2019年11月3日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
- ゆきえさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります! (2019年11月3日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえ - こんばんは、読んでみたら凄く好みでした。更新頑張ってください! (2019年11月2日 22時) (レス) id: 7a259da409 (このIDを非表示/違反報告)
- 零さん» コメントありがとうございます!! すみません!直しておきます! (2019年10月16日 23時) (レス) id: c63990faea (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します!富岡さんは「富」ではなく「冨」ですよ。これからも頑張ってください! (2019年10月16日 23時) (レス) id: da18fbc248 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月9日 22時

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