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「それは嘘でしょ(笑) だって、あの婆さん、ピンピンしてるでしょ？まだ人の手は必要じゃないでしょ？」
それも………そうだな。
おばあちゃんといっても、まだ７０代。畑仕事してるし、趣味の社交ダンスだってしてる。小さな村だけど、村の体育館で皆がダンスしてるんだよね(笑)
この村の人たちは元気だ。
俺が気付いてないだけかと心配してたけど……
「婆さんは、娘さんとは絶縁状態だって知ってるよね？」
「うん……」
「娘さんは、プロのピアニストになりたくて、婆さんとケンカして出ていっちゃったんだ。」
「…………」
「ピアニストには、なれたんだけど。男と出来ちゃってさ。その人との間に赤ちゃんが産まれたんだって。それが “ Aちゃん ” 。」
「…………」
「でも男はガキが気に入らなかったらしくて、結局離婚したらしい。婆さんの娘さんは、またプロを目指したくなったらしくて。Aちゃんは、一度婆さんの元へ預けられたんだ。」
ニノは、どこか切なそうに下を向き、淡々と話した。
俺は、ただ話を聞くことしか出来なかった。
「でも、結局、Aちゃんが恋しくなったらしく、連れて帰っちゃったんだって。」
「なんだ。娘さん、Aちゃんを愛してたんだね。それなら、なんで引っ越して来たの？」
「それ！そうなんだよ。」
「うん………」
「向こうで色々あったらしいよ？何があったのか知らないけど。Aちゃん、おばあちゃんっ子らしいから。恋しくなったんじゃない？」
「…………」
「俺が知ってるのは、ここまで。後は本人に聞いて。」
知らない話ばかりで心が締め付けられる。知らない自分が何だか悔しい。
おばあちゃんも、Aちゃんも明るそうなのに………そういう闇を見せない。
「てか、何でその情報知ってんの？」
「近所のおばちゃん達が噂してんのよ(笑)」
コイツは、昔から人懐っこくて。
情報網が広い広い。
近所のおばちゃん達からは、絶大な信頼感があって。アイドル(笑)
しょっちゅう話してるもんな〜
にしても、気になる。
会って間もないけど。Aちゃんの事、もっと知りたくなってる自分がいる………
今度会ったら、聞いてみようかな…。
俺とニノは、それぞれの職場に戻った。
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作者名：さくらもち | 作成日時：2017年8月15日 22時
