10.救世主はまさかの…… ページ10
キヨside
「……決まったけど」
「スクリーン、見て？」
俺は言われた通りにスクリーンに目を向ける。
そこには、闘技場みたいな会場で俺と狼男のアバターが睨み合うように、向かい合っていた。
＜バトル結果＞
[キヨ] 会話
[狼男] しゃがむ
そう、俺はあえて意味の分からないコマンドを選択したんだ。
相手は俺の思った通り回避コマンド。俺の予想的中だ。
「へぇ、君は面白いなぁ。いつもよりは楽しめそうでよかった」
う、上から目線だな……。ま、気にしちゃ負けだよな。
＜行動を選択してください＞
[睨む] 恐怖値30変化
[脅す] 恐怖値50変化
俺の手が止まる。何を選べばいいのかさっぱりだ……。
ん？何か画面が……
[観戦希望者1名]
観戦を許可しますか？
(はい／いいえ)
観戦ってことは誰かがここに来るって事？確かに1人じゃちょっと怖いし、いいかもな。
＜観戦を許可＞
[フジさんを観戦席に招待しました]
え……？フ、フジってあの？あのメールの人！？だよな、だよな！？
「どうも」
「うおぁ！？」
声のしたほうへ目を向けると、俺とあんまり年は変わらないぐらいの青年がいた。
俺より背は少し低め。黒髪に優しそうな眼差し。よく似合っている黒パーカー。
この人が、フジ……。なぜだろう、少し見覚えが……。
「さっきのメールぶりだね」
「あ、あぁそうだな」
「あの、別に怒ってはないんだけどさ、バトルはしないでって言ったよね？」
あ！忘れてた……！！
「ごめん……！！これは、その……」
「いや、ただやる前に俺に言ってほしかったな……。力になれたのに……。きっと通常戦にしてたら、一撃でやられてたと思うよ」
えっ！？そんな、嘘だろ！？
「ほ、本当に……？」
「そうだなぁ……。この敵を倒そうと思うなら100レベルはいるかな」
えぇ！？俺、確実にヤバいことしちゃってんじゃん……。
「でも、頭脳戦はレベル差がなくて平等だから、確実に勝てる保証がなくて、ある意味怖いとされているんだ」
「そんな……。俺、実はヘルプもろくに見てなくて……」
「大丈夫だよ。俺がサポートしてあげるから」
フジは俺のほうをみて、優しくニコッと微笑んだ。
なんか、なんとかなる気がしてきた……俺って単純なのかな？
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作者名：カナリア | 作成日時：2018年1月7日 9時
