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「あのっ、彼女のフリ……してもらえませんか?!」





俺は気づけばそんなおかしな事を言っていた





「はぁ…?」





目の前の女性はポカンとした顔をして俺のことを見つめる





だが時すでに遅し。もう言ってしまったことだ。取り消しは効かない。




コトの発端は、約30分前だった







__________






特になんの意味もないが珍しく外に出たい気分だったので、近くのオフィス街にでも行こうかと思い歩いていた





いや今考えればなんで散歩場所をオフィス街にしたのか謎だけど





何か新しいものを見てみたくてオフィス街に行った(と言うことにしよう)





まあライブでは顔出しをしているわけだし、Twitterに上げる写真でも動画でも、なんとなく顔が見えてるからわかる人にはわかる訳であって




決して気づかれないと言う訳ではない





オフィス街なんて危ないんじゃないかと思いながらフラフラと適当にほっつき歩いていた





まあ、この数分後に予想は的中てしまうのだが





後ろから




<あれっ、そらるさんじゃない?>



<わ、ほんとだめっちゃ雰囲気似てる>




と言う女子二人の会話を聞いてしまった




驚いてビクリと震えそうになるを抑え、いかにも「そらるじゃないです」感を出して歩いていた





だいたいこうすれば勘違いだったと思ってくれるのだが、次の一言により俺のそんな気持ちは打ち砕かれた





<私ライブ行ったことあるから顔わかるんだよね〜、ちょっと先回りして見てくるわ!>




いや、マズイ。顔を見られている相手だったとは





そして先回りとは





そんな思考が頭をぐるぐると回っていると、その声の主であろう一人の女の子がこちらをいかにも怪しそうにチラチラ見てくる






しばらくして、満足したのか後ろの友達の方へ駆けて行く






<やっぱり!そらるさんだったよ!あとつけてこうよ>





え?あとをつけるって言った?





絶対にやって欲しくないことランキングトップのあとをつけるだって???





洒落にならないぞ、おい






とりあえず何かを思い出したフリをして急いで逃げた

3→←1



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設定タグ:そらる , 恋愛 , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:昧子 | 作成日時:2018年5月14日 20時

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