桜花鳥 ページ10
食べて、狩って、採って、鍛錬して、死にかけて、なんとか生きて、食べて、体洗って、寝て。
そんな生活を続け始めてはや2年。
「はっ、はっ…まだ、まだぁ！！」
“クルルル！！！！”
私は未だに春島で鍛錬に励んでいた。
今目の前にいるのは薄い桃色と淡い黄色の翼を持つ巨大な鳥。
桜花鳥。この島に生息する、巨大鳥だ。
“彼女”は中でも1番の強さ、美しさを持つ、この島の主。
「うぐっ！！…うぅ。降参、です」
より強くふっとばされて、あまりの痛さに蹲り、両手を上げて降参の意を示す。
“クル…”
それを見た途端、心配そうな顔をして顔を擦り寄せてくる主。
「はは、また負けちゃった。やっぱりハルは強いねぇ」
そう言って近くに来た主、ハルの頭を撫でる。
ふわっ、ふわっ
“クルルルル♪”
撫でるたびにフワフワと揺れる体毛。目を細めて機嫌よく喉を鳴らすハル。
あー…癒される。
「…今日も、いい天気だねぇ」
“クルル”
一向に花びらが無くなる気配のない桜の木の下、私は息を吐いて、ハルとの出会いを思い出した。
◇◇◇
“ギャキャキャ！！”
『やっばいやばいやばいやばい！！』
“ピュル、ル…”
一年ほど前、私は襲われていた桜花鳥の雛を助けた。
勝てない、見捨てるべきだ。
その光景を見たとき、頭ではそう理解していたから、私は助けに行くのを少し躊躇した。
でも、
“ピ、ピュル…”
あの弱っている姿を、何も出来ないのに足掻いている姿を、昔の自分と違って生きようとしているのを見て、
助けない選択肢なんて無かった。
とは言え、相手の桃猿たちは群れを作って連携してくる、中々厄介な奴らで。
危うく死にかけたけど、なんとか逃げ切って保護、治療した。
まぁ、その後雛を探してた親鳥が勘違いして、真面目に殺されかけたけど。
なんとか誤解を解いて、雛を返還。
その後も雛の怪我の様子を見ているうちに、雛は勿論、親鳥にも懐かれた。
私は親鳥にハル、雛にコハルと名付け、今に至る。
ネーミングセンスなんてないからね、安直に決めてしまいました。
◇◇◇
“クル？”
不思議そうに私を見てくるハル。私はにっこり笑ってサラリとその頭を撫でたあと、立ち上がって土を払う。
「さあハル、もう一戦だ！」
“クルルル！！！”
神さま、みんな、
私、絶対強くなるからね。
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花南(プロフ) - コリーさん» うわぁ、コメントありがとうございます、とっても嬉しいです！！ 更新、頑張ります(｀_´)ゞ (2020年6月11日 21時) (
レス) id: ce7cd0fe35 (このIDを非表示/違反報告)
コリー - 気になる〜〜〜 とっても面白いです！更新楽しみに待ってます！！ (2020年6月11日 16時) (レス) id: 40d23dab50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花南 | 作成日時：2020年3月8日 6時
