デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ9)

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第四話悪気なく傷付けちゃう増田先輩① ページ9

私は帰宅してすぐ買ったワンピースを着て、鏡の前で立ってみた。

いつも動きやすいように束ねている髪の毛も下ろして巻いてみたりして、この服で増田さんのとなりを一緒に歩けたら…なんて妄想してみる。

────可愛いじゃん！

────ほんと似合ってるよ！

増田さんのニカッとした笑顔を思い出しては、嬉しいような擽ったいような何とも言えない気持ちが湧き上がってきて、慌ててブンブンと首を振って妄想を振り払う。

まさか増田さんと両思いになれる…なんて思ってるわけじゃない。

けど、このワンピース着て髪型も可愛くしてメイクも頑張ったら、少しくらい増田さんの視界に入ることも出来るのかなって。

少しは女の子として見てもらえたり…するのかなって。

そんな淡い期待が否応なく湧いてきてしまい、浮かれていた。

───次の日。

家を出る直前まで迷いに迷った挙句、結局そのワンピースを着て出勤した。

昨夜練習したコテで髪も巻いてみたものの、さすがに急にイメチェンしすぎると恥ずかしいと思い直し、巻いた髪はいつものように束ねてお団子にした。

それでも束ねる前に巻いた分、いつもよりお洒落に仕上がってしまった。

…気合い入れすぎて不自然かな。

何か言われたらどうしよう…

言われたら恥ずかしいけど、何も言われないのも寂しいかも…と思考をグルグルさせながらエレベーターを降りて、オフィスに入ろうとした時、

「わー、□□ちゃんのワンピ可愛いー♡」

「えへへ、ありがとうございます！この前買ったばっかりなんですー♪」

女子達の話し声のする方に目をやると、見覚えのある春色のふんわりとした袖がチラッと見えて、全身が冷たく固まった。