デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ6)

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第三話おだて上手な増田さん① ページ6

わぁ、キレイなワンピース…

会社から最寄り駅までの間にあるファッションビル。

ショーウィンドウの中、マネキンが着ていた可愛らしいワンピース目を奪われた。

先月やらかしたトラブルの対応は、増田さんや他の皆の協力もあり、今日で何とか一先ず収束…という段まで漕ぎ着けた。

ここ数週間、仕事中はずっとそのことで頭がいっぱいなくらい追い込まれていたから、やっと解決した解放感で今日は定時退社し、息抜きにウィンドウショッピングでもすることにしたのだ。

えーかわいい～…超かわいい～～～♡

春らしくて鮮やかだけど柔らかい感じの色遣いと、さり気なくふんわりとボリュームのある袖の形。

大人っぽさも可愛らしさも兼ね備えたようなそのワンピースに、すっかり一目惚れしてしまった…けれど。

ちょっと高い……し、それに……

私には絶対似合わない…よなぁ。

「くくっ…気に入ったのー？」

『…やあああっ！！！！！』

急に近くで声がして、漫画みたいにザザーーーッと後ずさった。

「ふはははっ、そんな驚く？！今の声お店中に響いたんじゃない？」

『ままままま増田さんっ！！何で此処に？！』

うぎゃーーー最悪最悪最悪(泣)

こんな絶対似合わない乙女ワンピに見蕩れてるとこ増田さんに見られるなんて！！！

「知らない？このデパート俺の最重要大口客先よ？」

『うぇっ、そうでしたっけ？！じゃあ営業の帰りですか？』

「そ。今日はもうこのまま直帰のつもり。」

『そ、そうなんですね！お疲れ様でした！ではっ…！！』

「いや待てよ。買うんじゃねーの？それ。」

増田さんがワンピを指差して私を呼び止めた。

やっぱりイジりたいらしい…