デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ21)

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第六話絶望的にヒロインのこと眼中にない増田先輩① ページ21

A side

「増田さーん、焼けたお肉たくさん持ってきましたよー！」

「わーありがとー食べる食べるーﾘ｀▽´ﾉﾘ」

「ふふっ、増田さんて本当美味しそうにたくさん食べますね♡可愛い…あ、先輩にかわいいとか言ってごめんなさいっ。」

「ふはは、いやー俺って可愛いから仕方ないかー！」

「えー！もぉ、増田さんおもしろーい♡」

…はぁ…………地獄。。

休日なのに会社のメンバーとBBQ…なのは、増田さんに会えるから全然良いんだけど。

結局□□ちゃんとイチャつく姿を見せつけられるだけっていう状況は平日と何ら変わりはなくて…

私はと言うと、ひたすら皆の食べる分を焼きながら、今日を楽しみにして浮かれていた昨日までの自分を心の中で呪っている。

やっぱりあの２人、付き合ってるのかなぁ。

原宿に２人で出掛けるくらいだもん、付き合ってるんだよね…きっと。

良いなぁ、□□ちゃん…

あんなふう素直にアピールできて、好きな人に想いを伝えて、お付き合いできたら、恋愛楽しいだろうなぁ…

私はアピールするどころか、逆走してばっかりだ。

───原宿でナンパされそうになっているところに偶然増田さんが現れて、何故かその後２人でカラオケ行くことになった、あの日。

「ギーフテ～～～っド♪」

『ぁぁぁあー…めっっっっちゃ良いですーーー(泣)』

□□ちゃんと遊びに来ていたはずなのに、□□ちゃんのところに戻らなくて良いんだろうか…と疑問に思いつつも、増田さんは私に見られていたことを知らないはずだから、こっちから聞いて良いのかも分からなくて。

とりあえず大好きな増田さんの歌を聴き放題っていう夢のような目の前の状況を楽しむことにした。

そもそも私が増田さんのことを好きになったのは、増田さんの歌を聴いたからだった。

ちょうど仕事で失敗して落ち込んでいた時、二次会のカラオケで増田さんが歌っているのを聴いて、素直に感動した。

全身から湧き出てくるようなパワーのある歌声、全てを温かく抱き締めてくれるような優しい歌声、思わず笑顔になっちゃうような明るい歌声。

どの歌でも増田さんが歌うとものすごく、心の内側から響いて…

増田さんは別に私のために歌ったわけでも、私を元気づけようとしてくれたわけでもないのに、勝手に元気づけられちゃって、気が付いたら…

いつの間にか増田さん自体を、好きになってしまっていたんだ。