デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ3)

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第二話たまーに優しい増田先輩① ページ3

増田さんはいつも私の扱いが雑なくせに、10回に1回くらい急に優しいからタチが悪い。

『…………』

「Aー、ちょっといい？これさぁ、……ん？どうかした？」

『…何でも…ないです。』

ヤバい…すごいミスした。

私は取引先からの激おこメールを見て固まっていた。

脳内で必死にリカバリー策を練っていたところなのに、こういうときに限ってこの男は話し掛けてくる。

『…すみません。何ですか？』

「いや、俺の話は急ぎじゃないから。何かあった？…んー？」

増田さんが勝手に私の画面を覗き込んでくる。

顔の距離が近い…なんてのは流石に今はどうでもいいんだけど。

「ありゃりゃ…何かやらかしたの？」

『はい、ちょっと…とんでもないミスを。。。』

「どうすんの？」

『どうしようかなって…今必死に考えてるところです。』

「資料貸してみ。」

『いや、増田さんもお忙しいので、1人で何とかします！大丈夫です！』

「まーたそんな意地張って。こういうときは1人で考えるより、一緒に考えた方が良い方法が見つかるんだって！」

『あ！』

有無を言わさず机の上の書類を拾い上げて、フンフン…と状況を把握しようとする増田さん。

有り得ないくらい初歩的な自分のミスを、今まさに増田さんに認識されている。

どんな言葉で罵倒されるのか怖くて増田さんの顔を見れず、下を向いていると、

「…んー、よし。じゃあとりあえず、行こっか！」

いつもの増田さんからは考えられないくらいの優しい声が頭の上から降ってきて、バッと顔を上げた。

『…へ？どこに？』

「当然！謝りに行くんだよ！」

…あ、この笑顔…大好きな顔…(ﾘ｀▽´ﾉﾘ)

『え？増田さんも一緒に？！』

「行きながら作戦会議しようぜ！」

『え、ちょ、待っ…増田さんっ！』

スーツのジャケットをふわりと持ち上げてさっさと出ていこうとする増田さんを慌てて追いかけた。