デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ20)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:677 hit

第五話女心に鈍感な増田さん⑧ ページ20

『本当、怒鳴っちゃって申し訳なかったです。ごめんなさい。』

「…いやいや、俺の方こそ何か無神経なこと言ったなら…」

『では、また月曜日…』

「あ、ねぇ今、暇ならコーヒーでも飲もうよ。せっかく会ったし？」

お互い謝ったもののまだ微妙な空気は抜けなくて、月曜日の仕事を気持ちよく始めるためにも、もう少しAとの関係を元通り近くまで復旧しておきたい。

『え、でも…増田さん早く行かないとじゃ…』

「何で？俺は別に用事ないけど？」

『………そう…なんだ？』

何故か腑に落ちない様子のA。

「あ、それかカラオケの方が良い？」

『いや、…あ、て言うか！さっきさり気なく私のカラオケが下手とか言ってましたよね？！』

「言ったっけ？」

『言いました！』

「あの男から助けるためだろ？」

『でも本音ですよね？』

「まぁ本音だけど。」

『行きません！』

「俺の歌聴きたくない？」

『それは………聴きたいです、、けど。。。』

「ふはっ」と笑ったのは、やっといつものAに戻ってくれたという安堵感。

Aは俺の歌をやたら気に入ってくれていて、会社の飲み会で二次会の流れになると、自分は得意じゃないくせに絶対にカラオケを推す。

そして俺に歌ってほしい歌を勝手に入れては、うっとり幸せそうに聴き惚れてくれて…そんな時だけは「可愛いヤツ」と思ったりもして。

「じゃ決まりな！」

『本当に行くんですか？２人で？』

「別に良くない？」

『…じゃあー、私が歌ってほしい曲、たくさん歌ってくれるなら…』

「いーよ！知ってる曲なら！」

『やったー♪』

□□ちゃんと２人のときは気が重かったけど、Aとならカラオケでも気軽に楽しめる気がして…

そんでとりあえず、Aが笑顔に戻ってくれて、安心した。