デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ19)

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第五話女心に鈍感な増田さん⑦ ページ19

「…分かった、行こう。」

「あ！おいっ！」

「待て！」と後ろで喚く男を無視して、俺はAの手を引いて走った。

『ま、ますだ、さっ…ちょっと待っ…』

「…あ、ごめんごめん！」

速く走り過ぎたようで、気付けば息絶え絶えになっていたAの手を慌てて離した。

「悪ぃ、大丈夫？」

『は、速すぎです…でも、ありがとうございました！』

「あいつ、知らない奴？」

『はい、さっきいきなり話し掛けられて、困ってたので助かりました！…って、…あ！』

「ん？！」

上がった息を整えながら、Aが急に何かを思い出したように叫んだ。

「何？」

『すみません、お邪魔しちゃって！じゃあ私、帰りますね！』

「は？お邪魔って？」

『いえいえ、何でも！…じゃっ！！』

「え？…おい待てよっ！あの、ワンピース…」

じゃ、と早々に話を打ち切って帰ろうとするから、今離したAの手首をもう一度掴む。

今なら仲直り出来るかな…なんて、意外に必死なことに自嘲する。

『その話はもう…』

「誤解だから！□□ちゃんが同じワンピース買うとか知らなかったんだよ！」

『……あー、、かなって…後から思いました。すみません、何か自意識過剰って言うか、取り乱して…恥ずかしい勘違いしちゃって…』

怒ってはなさそうだけど、やっぱり目は合わない。