デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ18)

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第五話女心に鈍感な増田さん⑥ ページ18

さっき見かけた交差点のところまで戻ると、Aとその男はまだそこに居て、口論しているようだった。

『…ちょ、引っ張らないでくださいっ！』

「良いじゃんカラオケくらい～別にホテル行こうって言ってるわけじゃないんだしさ～」

っ…！！

やっぱりだ…彼氏じゃなくてナンパ野郎だったのか！

どうやら男が無理やりAをカラオケに誘っているみたいで、Aは必死に男の腕を振り払おうとしていた。

『行きません！…これ以上しつこいと、警察…っ、』

「あのー、この子カラオケめーっちゃ下手くそだから、他探した方が良いと思いますよ。」

『……まっ…？！』

話に割り込みながら男の腕を掴み、その腕に掴まれていたAの腕をそっと離してやった。

Aの手首には男に強く掴まれていた痕がくっきりと残っていて、ザワっと胸の中に苛立ちを覚える。

「な、何だよお前、この子の彼氏？」

「ん…あー、そうだけど…」

『はぁ？！ち、違いますっ！彼氏なんかじゃっ…！』

「(バカ、話合わせろよっ！)」

漫画とかでよくあゆみたいに彼氏のフリして助けてやろうと思ったのに、空気を読まないA。

「おい聞こえてるぞ。彼氏じゃねーじゃん！」

「…っ、、とにかくこの子は諦めろ！明らかに嫌がってるだろ？それにカラオケなら、一緒に楽しめる女の子探した方が良いじゃん。」

「恥ずかしくて嫌がってるフリしてるだけだろ？俺そういう素直になれない子を少しずつ落としていくのが趣味なんだよ！関係ないならほっとけよ！」

悪趣味な男だな！

まぁでも確かに彼氏でもないし関係ないっちゃないけど…

って、あれ……もしかして本当にこの男の言う通り素直になれないだけで、Aはカラオケ行きたかったのかな？

「…A、悪ぃ、俺もしかして邪魔した？」

Aの表情を確認したくて屈んでみても、真っ直ぐ下を向いてしまっていて顔が見えない。

「邪魔だよ！誰だか知らねーけど彼氏じゃないなら関係ないだろ！ほらAちゃん？行こうよ～！」

Aから助けを求められてないなら男の言う通り放っとくべきかな…と見送ろうとした瞬間、Aが再び近付いてきた男の手を振り払って俺の服をキュッと掴んできた。

『増田さん…ごめんなさい。…その、助けてほしいです…』

チラッとAを見ると少し震えているのが分かって、何故かまた胸が痛くなった。