第五話 女心に鈍感な増田さん�� ページ17
「美味しかったですね！増田さん、ご馳走様でした！」
「喜んでもらえて何より。これで気ぃ済んだ？」
原宿で少しプラプラして、それなりにお洒落なお店でランチして。
そろそろ解散でも良いかな…と思ったんだけど、そうはいかないようで…
「まだですぅ！お花咲いてる公園お散歩しましょうよぅ！」
「えー…」
気怠い返事をしながら□□ちゃんに視線を向けたその時、肩越しに彼女が着ているのと同じワンピースがヒラリ…とチラついた気がして、「…えっ」と思わず息を飲んだ。
Aが、男と一緒に歩いている。
それも、あのワンピースを着て。
「…A？」
「え？！Aさん？どこどこ？！」
あ、やべっ…口に出しちゃった。
「あーごめんごめん！多分人違いだわ！似てる人が居てさ！」
同じワンピースのAを見られまいと、咄嗟に肩に手を添えて方向転換させると、
「…ま、増田さん…///」
「あ、ごめんっ、」
うっかり肩を抱いたようになってしまい、慌ててパッと手を離した。
「いえ…増田さんなら、大歓迎ですっ…///」
□□ちゃんの潤んだ目と赤らんだ頬を見て「やべ、ちょっと変な空気になっちゃった…」と少し後悔はしたものの、何とかAのワンピースのことは、□□ちゃんに気付かれずに済んだみたいで良かった。
…にしてもあの男…まぁ普通に考えて彼氏…だよな。
Aって彼氏居たんだな。
ちょっと意外…
何の根拠もないけど何となく居ないと思ってたから(失礼)。
けどまあ、居てもおかしくはないか。
会社ではあんまり色気出さないけど、ちゃんとすれば悪くはなさそうだし？
そう、あのワンピースとか着てキチンとお洒落すれば、割と…まぁまぁ、結構、それなりに……
不意に得体の知れないモヤモヤ感が胸に広がってきた。
男と一緒に居たAの姿を、頭の中でもう一度思い出してみる。
結構チャラそうな男だった…けど、何だろう？
雰囲気に何となく違和感を覚えたのは…
Aが若干身を引いてたような………っ？！
「…ごめん！□□ちゃん、やっぱり今日帰らないといけなくなっちゃった！」
「ええっ？！増田さんっ？！」
「ほんとごめん！！先帰ってくれる？マジごめんね！」
ほんの少しだけ引っ掛かった違和感が気になって、俺は□□ちゃんと別れてAの方へ戻った。
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作者名：まこ | 作成日時：2024年2月21日 22時
