第五話 女心に鈍感な増田さん�� ページ16
増田さん side
(それじゃ明日の11:30に原宿で！めちゃくちゃ楽しみにしてまーす♡)
金曜日の夜。
□□ちゃんからのキャピキャピしたメッセージにテキトーなスタンプで反応すると、スマホを暗くして「ふぅ…」と軽い溜息をついた。
なーんか…面倒なことになっちゃったなー。
明日、何故か□□ちゃんと２人で出掛けることになってしまったのだ。
それもこれも、全部Aのせい。
言い合いになった翌日、Aと１回も目が合わなかった。
仕事の話では普通に返事も会話もしてくれるけど、とにかく俺の目を見ようとしないし、仕事以外のことで話し掛けようとすると明らかに「今手が離せません」的な態度をとられて…
やべー…ワンピースのこと、そんなに怒ってるのか。
どうにかAの怒りを収める方法…
何か上手いもんでも食わせたら機嫌治るかなー。
…あ、待てよ。
その前に□□ちゃんがもしまたあのワンピース着てきちゃったら、もっとAの機嫌悪くなるじゃん！
ハッと気付いて、□□ちゃんにこっそり「例のワンピースは会社に来てこないでほしい」と無茶なお願いをした。
理由を聞かれて本当のことを言うわけにもいかず、咄嗟に上手い言い訳を思い付かなかった俺は、
「理由は言えないけど、とにかくお願い！この通り！」
と言うしかなくて、そんなんで□□ちゃんが納得する訳もなく…
「え〜嫌ですぅ…それに私、増田さんに見てもらいたくてこのワンピース買ったんですけど…」
「え、いや…でももう昨日見たよ？」
「もう、そういうことじゃないです〜！」
じゃあどういうことよ？
俺に見てもらいたくて…って、は？え？
「会社で着るのがダメなら…せめて会社以外で着たいですぅ。」
「それは勿論[NN:□]ちゃんの自由だし、問題ないよ！」
「じゃあ増田さん、一緒に出掛けてくれますか？」
「んえ、何でそうなるの？！」
「だってぇ！私のワンピースなのに増田さんの都合で会社で着ちゃダメなんて酷くないですか？！買った意味なくなっちゃいますもん責任とってくださいよー！」
かわいくプンプンする□□ちゃんの言い分は全く正しくて、グウの音も出なくて。
勢いに押された俺は、その条件をOKするしかなかったのだ。
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作者名：まこ | 作成日時：2024年2月21日 22時
