デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ15)

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第五話女心に鈍感な増田さん③ ページ15

「…大丈夫？道迷ったの？…あれ、泣いてる？」

急に知らない男の人に声を掛けられて我に返り、道端でハラハラと泣いていたことが恥ずかしくなる。

『あっ！す、すみません大丈夫です！』

「えー、大丈夫じゃないでしょ？泣いてるじゃん！ほら…」

不意に指で涙を拭われて、えっ…と後退りした。

急に顔触るとか…ちょっと距離近いな、この人…！

「そうだ！今からカラオケ行かない？元気出るよ！」

『…え、行かないです！』

「なーんで行こうよ！オレめっちゃ歌上手いからさー！」

この期に及んで『歌なら絶対増田さんの方が上手いもん！』とか思っちゃってる私はバカとしか言いようがない。

増田さんのカラオケ、大好きだったなぁ…とか、一瞬気が逸れた瞬間、

「とにかく来たら楽しいからさ！」

男が手首を強く掴んできて、全身ゾクッとした。

うそ…やだ怖いっ……

『あのっ…本当に行きません！…これ以上しつこいと警察…っ、』

「あのー、この子カラオケめーっちゃ下手くそだから、他探した方が良いと思いますよ？」

震えを堪えながら警察を呼ぼうとしたその時、聞こえるはずのない大好きな声がした。