デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ12)

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第四話悪気なく傷付けちゃう増田先輩④ ページ12

…あれ俺、、何で追い掛けてんだろう？

「A…待てよ！」

『ちょっ、離してください！』

やっとのことで追い付きAの手首を掴むと、その手はブンブン振り回されすぐに振り解かれた。

俺も負けじともう一度Aの手を掴んだものの、ノープランで追い掛けてきたから何を言って良いのか分からない。

『何なんですかっ！離してください！！』

「だって…た、体調悪いって、大丈夫か？」

それよりワンピースのことを謝らなければいけない気がしたけど、Aは別に俺のために買ったわけじゃないし、謝るのも変な気がする。

『大丈夫じゃないから帰るって言ってるんです！だから離してってば！』

Aの顔は俯いていて見えないけど、いつもより女の子っぽく巻かれている髪型に気付いて、いじらしく思える。

「…あ、髪型変えたの？可愛いじゃん。」

『…っ、、…！』

つい思ったことをそのまま口に出してしまっただけなんだけど、それがAの癇に障ったらしく、キッと睨まれた。

『残念でしたね！もうちょっとで私のこと、皆の笑い者にできるとこだったのに…』

「はぁ？何だよそれっ！」

『□□ちゃんと同じワンピースなんか勧めて…どういうつもりなんですか？』

え…あ、もしかして俺がわざと□□ちゃんと同じワンピース勧めたと思われてる？

誤解…って言うか、□□ちゃんとそんなやり取りした記憶ないんだけど、さっきの会話を聞かれていたのか。

「ち、ちが…」

『楽しかったですか？』

「え？」

『バカにされてるのも気付かず褒め言葉真に受けて、似合いもしないワンピース買っちゃう私見てて、楽しかったですか？！』

「…っ…いや、だからぁ、」

『もう離してくださいっ！私帰りますからっ！……何が、可愛いじゃん、よ。バッカみたい…』

「……っ、、」

吐き捨てるような言葉に怯んだ隙に手を振り払われ、あっという間にAは走って居なくなってしまった。

俺は呆然と立ち尽くした。

うっかり同じワンピース買っちゃうのって、確かに女の子からしたら恥ずかしいことかもしれないけど…そんなにショックで、そんなに取り乱すことなのかな…

この時の俺は、全くAの気持ちが分からなかった。

ただ、仲良し(と俺的には思っている)の同僚を怒らせてしまったことに、動揺するだけだった。