デリカシーのない増田先輩への片想いがしんどい件 (ページ11)

今日:28 hit、昨日:1 hit、合計:699 hit

第四話悪気なく傷付けちゃう増田先輩③ ページ11

増田さん side

今朝、出勤してきた□□ちゃんの姿を見た俺は青くなった。

…げげっ、あのワンピース！

昨日[FN:○○]が買ったのと同じやつ！

「増田さんのお客さんのファッションビルなんです♡ね？増田さん！」

「あ…あぁ。」

「増田さんが持ってた○○ビル特集の冊子に載ってて可愛いなーって思って…２色あったからどっちが良いか迷ってたんですけど、増田さんのオススメの方にしました～♪」

「え、ちょちょ□□ちゃん、俺オススメなんかしたっけ？」

ヤベー全く覚えてねーんだけど。

「この前ワンピースの色、暖色系と寒色系ならどっちが良いですかって聞いたら、春だから暖色っぽい方が良いんじゃないって言ってくれたじゃないですかー！」

あ、なんだよ。

実際にワンピースの写真見せられて答えたわけじゃなかったんだ。

だよなぁ、さすがにそれだったら覚えてるはず…こんな印象的なワンピース。

あーあ、それにしても、Aが知ったらショックだろうな…
何か、可哀想なことしちゃったかも…？

昨日の今日でAもあれ着てきちゃったりしたら…

うわ、それ超気まずいじゃん、どうしよー。

昨日あのワンピースを試着した時の、はにかみながらも嬉しそうに微笑んでいたAの顔を思い出して、苦々しい罪悪感が広がっていく。

つーかそろそろAも出勤してくる時間かも…と思い入口の方を振り返ると、一瞬チラッとだけ…でも確実に、あのワンピースの裾がひらりと翻って消えていくのをこの目で見た。

…ぇ、A…！

次の瞬間ピロン…と音がしてスマホを見ると、Aからの『出勤途中で体調が悪くなったため、今日は在宅勤務とさせていただきます。』というメッセージがポップアップされた。

急いでエレベーターに乗り込み１階で降りると案の定、走って出ていこうとするワンピースの女の子が見えた。

「…Aっ！！」

一瞬振り返ったAは俺に気が付くと酷く驚いた顔をして、けれどすぐに再び前を向いて、また逃げるように走り出した。

無意識に俺も走り出していた。