５ ページ6
藍沢「…子供は、大人と比べて警戒心が強い」
名取「…え、？」
藍沢「だから、視線を同じにしてやれ。高さもそうだが、周りを見る視線だ。何に怯えて、何を求めてるのか。同じ目線に立って感じ取れ…」
今朝、自分が逃げるように"忘れてくれ"と言った事を覚えていてくれたのか。
名取は藍沢の言葉を聞き、ついこの間の子供を思い出した。
泣かせてしまった子供は、何が不安で涙を流したのだろうか。
あの時の自分は、あの子の目線に立とうとすら思わなかった。
あの子と同じ視線で考えれば、もしかしたら、何か感じ取れるものがあったのかもしれない。
藍沢「子供だからと言って、無理に態度を変える必要も、愛想よくする必要もない。ただ出来るだけ、視線を合わせてやれ」
名取「視線…」
藍沢「……そうすれば、少しは変わるんじゃないか、」
名取は自分の手を眺め、絞り出すように言った。
名取「俺に、出来ますかね」
藍沢「…お前の親は、あの緋山だからな」
名取「え…？」
だから出来る、と言いたかったのか。
はたまたそうではないのか。
藍沢は言葉にしなかったものの、名取には藍沢の言いたいことがわかるような気がした。
名取「親って…(笑)え。もしかして藍沢先生、俺らフェローにもそうしてきたって事ですか？」
咄嗟に名取がそう聞くと、
藍沢「……そう、かもな…」
藍沢は少し口角を上げて言った。
自分が子供と言われているようで少なからずショックを受けた名取だが、そんな自分が可笑しくてつい笑ってしまう。
名取「視線、か…」
名取の呟きを聞いた藍沢は、どこか安心したような表情をして、そのままゆっくりと瞼を閉じた。
名取「藍沢先生？」
するとその直後。
藍沢を繋ぐ心電図は突然波形を乱し、
けたたましいアラームを鳴らし続けた…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
佑妃奈(プロフ) - リクエスト失礼します。藍沢先生が重度の低血糖になってしまう話がみたいです。お願いします。このシリーズ大好きなので更新続けられていて嬉しいです!! (2022年9月23日 16時) (
レス) id: f264ee5bd6 (このIDを非表示/違反報告)
なのもん(プロフ) - すーさん» こちらこそ、リクエスト有難う御座いました！今後とも宜しくお願いします (2022年9月18日 0時) (レス) id: cf62cfc1e0 (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - この度はリクエストに答えてくださりありがとうございます！とても素敵なお話でした。これからも応援してます！ (2022年9月18日 0時) (レス) @page9 id: 23361e30d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なのもん | 作成日時：2022年9月17日 22時
