ファインダー越しの10年【不死川実弥】

成人式 ページ27

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それからの時間の流れは早かった。
あっという間に3年が過ぎてしまい、実弥くんと出会ってから10年目を迎えようとしている。

そんな今日は1/6
写真スタジオ業界一の繁忙期である七五三シーズンがやっと終わったのも束の間で、もう数日後には成人式が控えている。



そしてその日には不死川様の予約も入っていた。




ついに実弥くんも20歳になったのか。
最初に出会った時はまだ10歳だった彼に心を奪われて、一度きりのキスを交わして。
それから何事もなく飽きられてしまったか…なんて思っていればネックレスをプレゼントされて。

本当人生何があるか分からないものだ。
そう思わされるには十分すぎる10年だった。






「叶芽さん、今度の成人式の打ち合わせしませんか？」
と言った後輩の言葉に我に返り、仕事モードに頭を切り替える。



成人式撮影は時間勝負だ。
小さな子供とは違い機嫌が悪くなる、とはまた違う問題があるのだ。

着付けが終わり式典が始まるまでの僅かな時間に何人もの新成人が撮影に来る。写真選びをする間もない程に時間に追われる彼らは撮影が終わればそそくさと式典会場へと向かってしまうことがほとんどだ。

つまり撮影ミスがあったとして、また後日撮影をし直すことも出来ない。
着付けをする人によって何通りもある帯の結び方はその日限りのもの。最もプレッシャーのある成人式撮影は未だに慣れないから正直苦手である。




けれど今年は少し違う。
実弥くんをカメラ越しに見れるのは何年ぶりだろうか。




そんな楽しみを抱えながらついに当日を迎えた。








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