ファインダー越しの10年【不死川実弥】

エピローグ ページ35

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パシャパシャとカメラのシャッターを切る音がスタジオ内に響く。その音に混じり、たまに二つの泣き声が響き渡る。




「Aさん、緊張で顔強ばってますよ〜！」

「ニッコリ笑顔でお願いしますね〜」



「お父さまも表情硬いです〜！」



なんて言ってシャッターを切っているのは
私と共に毎年実弥くんの成長を見守った後輩である。




『実弥、表情硬いってよ』

「るせェ、お前も言われてんだろ」

と共に言い合いながら、首のすわっていない自身の子供らの頭を支えるので精一杯だ。
長年この仕事をして来た私が精一杯なのだから、隣にいる実弥はそれ以上にガチガチになっている。故に元から得意ではない写真撮影の表情はスタジオ内のモニターを見なくとも想像に容易い。







先月、出産した。
無事に産まれたのは男の子と女の子の双子だった。



旦那は言わずとも分かっているだろう。
横で必死に自身の子を抱く不死川実弥だ。







気づけば撮影も無事終わり、私と彼で撮り終わった写真をモニターで選ぶ。
こっちの写真の方が可愛い、いやこっちだろォと
既に2人して親バカでこの先が心配でしかない。



まさか彼と夫婦としてこの店に足を入れることになるなんて、出逢ったばかりのあの頃は想像もしていなかった。


人生、何があるのか分からないものだ。




けれどこれだけは間違いなく言える。






初めて出逢った日、
初めて唇を重ねた日、
初めてプレゼントを貰った日、

その思い出全てが今の私たちを作り上げていて、
10年間、互いへの想いをこれ以上無いほど成長させた。








私のことを好きになってくれて、
10年前掛けて迎えにきてくれて、ありがとう。






愛してる、実弥。









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