ファインダー越しの10年【不死川実弥】

恋心 ページ22

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「でも彼は、10年後にAを迎えに行くつもりじゃないですか？」

『…本当に来ると思うの？』



だって彼、これからが人生の1番楽しい時期なんだよ。
中学生、高校生なんていい意味でも悪い意味でもたくさん恋愛をして成長する時期なんだよ。
青春を送れる貴重な六年間を十も歳上の女に費やすなんて、そんなもったいないことをさせたくない。




『私は彼に全うな恋愛をしてほしいの』

「彼がそれを犠牲にしてでもAがいいと言ったら？」

『それは…』



嬉しい。
そんなの嬉しいに決まってる。

でも、そんなのダメだって誰でもわかることだもの。
玄弥くんのように数年後私のことを忘れて同じ学校の女の子を好きになることだって充分有り得る。
むしろそうなって欲しい気持ちもちゃんとあるのだ。




これが本当の愛、というものだろうか。



目の前の親友にそう問えば、「なにクサイこと言ってるんですか」と一蹴された。
そしてまた全てを見透かすような瞳でこちらを見つめ、少しした後彼女はため息を零してこう言った。






「まあ、しばらくはその恋心のまま楽しんだらいいんじゃないですか」




と。







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