1ヶ月後 ページ5
あれから1ヶ月が経った。
俺は仕事が忙しくて孤児院には顔を出せずにいた。
今日は月に一度の大市場の日だ。
俺は市場で売り終わった帰りに孤児院に寄ってみることを決めた。
｢ごめんくださーい…｣
すっかり夕方になってしまった。
メグさんや子供たちは元気にしているだろうか…
｢あー!!ミサンガのお兄ちゃん!!｣
ドアを開けてくれた女の子が嬉しそうにそういうと奥の方から子供たちが走って集まってきた。
｢こらこら…みんなそこにいたら、お兄さんが入れないでしょう？｣
｢あっ、メグさん!お久しぶりです。｣
メグさんは夕飯の準備中だったうようだ。
メグさんは｢また来てくれて嬉しいわ｣と微笑み、俺を歓迎してくれた。
｢あれ、アオイちゃんはー？？｣
｢また1人で本読んでるんじゃないの〜？？｣
｢誰か呼んできなよ〜｣
子供たちはアオイも呼んできた方がいいよねと言う話をしているが、誰も呼びに行きたがらない。
｢みんな…アオイが苦手なの？｣
俺がそう問いかけると、子供たちは困った表情で｢無口で怖い｣｢みんなで一緒にいたがらない｣｢いつも本を読んでて話しかけられない｣とアオイの苦手な部分を言ってきた。
1人が好きな子なんだなと思ったが、何か引っかかる…
俺はこの1ヶ月ずっとアオイが気になっていた。
｢アオイのいる部屋に、俺を連れていってくれるかな？｣
俺がそういうと、子供たちは｢わかった!｣と素直に連れていってくれた。
｢アオイ…？｣
子供たちに連れられてきた俺は、またしてもアオイと二人きりになってしまった。
アオイはちらっと俺を見て、すぐ本に目を向けてしまった。
俺が話題に困っていると、アオイが口を開いた。
｢もう…来ないかと思ってた。｣
アオイの声は小さく、少し震えていた。
俺はアオイに近づくと、本のしおりがミサンガなのに気がついた。
｢ミサンガ、しおりにしてるんだね。｣
アオイはハッとして本を閉じる。
何か言ってまずかっただろうか…
｢思い出…大事なものだから……｣
アオイはそう言って手作りのミサンガを挟んだ本をそっと撫でる。
俺からしたらそんなに大層なものじゃないが、ここの子供たちには充分大切な思い出の品であることを目の当たりにした。
｢ありがとう、大事にしてくれて。｣
俺がそっと頭を撫でるとアオイは座ったまま俺を見つめる。
じっと静かなその姿に俺はどうしたらいいか分からなくなる。
アオイは俺を見つめたまま静かに息を吸って言った。
｢お兄さん、私を引き取ってくれませんか…？｣
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白詰草 - コメントありがとうございます!!多忙なもので更新が遅くて申し訳ないです。スキマ時間で書いていきますので気長にお待ちいただければと思います! (2020年11月30日 16時) (
レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ＠うぇーい教おいしい美茶教(プロフ) - 初めまして…！題名に少しつられてのこのこやってきた者です！オリジナルなので、原作なども読まなくて良いし、どんどん引き込まれます…！ゆっくり更新でも良いので、更新、頑張ってください…！ (2020年11月29日 6時) (レス) id: e02f1d7237 (このIDを非表示/違反報告)
白詰草(プロフ) - コメントありがとうございます!!超スローペースで申し訳ないです。また読みに来て頂けたら嬉しいです! (2019年12月14日 1時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして！続きが気になって一気読みしました。これからも頑張って下さいっ(*^^*) (2019年12月10日 2時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白詰草 | 作成日時：2019年4月18日 1時
