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俺の過去2 ページ20

「まず単刀直入に言うが、ハクは俺のじいさんだ。」
アオイは目を大きく開いて驚いた表情になった。
俺は止まらずに話し続けることにした。

俺の祖父、ハクは物凄い集中力と技術で、繊細で美しい滑らかな布を織ることが得意だった。
俺の父はかなりの不器用で全く機織りが出来ず、後継ぎにはなれないと祖父が判断したため布作りはせずに今は商店街で働いている。
奇跡的に俺はハクの才能に近い集中力を持っていたので、幼い頃からハクの指導を受けながら後継になるために機織りの技術を磨いた。
ハクの指導は厳しく、何度も叱られ、幼い俺は何度か泣いたこともあったがそれでも諦めずに機織りを続けた。
他に何人かハクの弟子になりたいと一緒に教わっていた人もいたが次々に辞めていき俺だけが残った。
ハクの布は肌触りがよく、繊細で色合いも美しくいので何度かこの国の王様や王女様の衣装素材に選ばれた。
俺もいつかはそんな布を作りたいのだがまだ小さいブティックにお得意様がいるくらいで国王様に認められるには先が長い。
今の祖父はもういい歳なので機織りをやめて、作業場とこの家、土地を俺に渡して今は実家でのんびりと過ごしている。

カズとマノンとヒナは俺が学校に行っていた時に出会った。学校で初めて声をかけてくれたのがカズだった。
俺が毎日放課後に1人で帰っているとそれを見ていたカズに「お前いつも1人で何してるの?どこかに行くなら俺も連れて行ってくれよ!」と言われ、いつも学校から山の下にある家に帰って、父さんの車で山奥まで行き機織りの練習をしているのだが、その日は父さんに頼んでカズと一緒に行った。
みんなが放課後に公園や友達の家で遊んでいる中、俺は1人でじいちゃんと機織りなんて少し恥ずかしいと思っていたのだが、カズは山奥の家に着くなり目を輝かせて「でっけー!なんだここ!!お前の秘密基地じゃん!」と大はしゃぎだったのを今も覚えている。
それからカズは幼なじみのマノンと、臆病でいつもマノンに懐いて離れなかったヒナもここに呼びたいと言い出した。じいちゃんに言うと「友達と遊ぶのも子供の仕事だ」と言われ、みんなで山の中を散策したりもした。
その繋がりが続いて、大人になった今でもいつも一緒にいる。

「…とまぁ、簡単に話すとこんなもんだな。」
無心で今までの経緯を一気に話したせいで少し疲れた。
みんなも緊張が解けたのか一息ついているようだった。

アオイだけはまだ、俺の話を頭の中で整理しているのか固まっていた。

アオイの過去→←俺の過去



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白詰草 - コメントありがとうございます!!多忙なもので更新が遅くて申し訳ないです。スキマ時間で書いていきますので気長にお待ちいただければと思います! (2020年11月30日 16時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ@うぇーい教おいしい美茶教(プロフ) - 初めまして…!題名に少しつられてのこのこやってきた者です!オリジナルなので、原作なども読まなくて良いし、どんどん引き込まれます…!ゆっくり更新でも良いので、更新、頑張ってください…! (2020年11月29日 6時) (レス) id: e02f1d7237 (このIDを非表示/違反報告)
白詰草(プロフ) - コメントありがとうございます!!超スローペースで申し訳ないです。また読みに来て頂けたら嬉しいです! (2019年12月14日 1時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!続きが気になって一気読みしました。これからも頑張って下さいっ(*^^*) (2019年12月10日 2時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白詰草 | 作成日時:2019年4月18日 1時

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