水汲み ページ16
ハクの事を話すことが出来ないまま日が経ってしまい、春の心地よい暖かさが、じわじわと身体にまとわりつくような暑さに変わってきた。
アオイはこの家での生活もだいぶ慣れたようで、たまにマノンと図書館に行って本を借り、色んな人から分からない字や言葉を教わり、家事の手伝いもしたりして以前よりたくさん話すようになった。
昼間はずっと俺の作業を見てノートに何か書いたり、作業場で本を読んだりするようになり、ほとんど俺と一緒に過ごしている。
そしてたまに俺とアオイは孤児院へ顔を出してメグさんに挨拶をしたり、孤児院の子供たちと遊んだり、簡単な編み物を教えたりするという日々を送っていた。
｢Aー!俺今日水汲み行くけど、お前も行く？｣
畑仕事をしていたカズが作業場の入口から突然大きな声でそう言った。
｢あぁ、そろそろ俺も水がほしいと思ってたんだ。準備するから待ってくれ。｣
俺の返事を聞いてカズは｢分かった!俺も準備してくる!｣と言って畑の道具を片付けに行った。
俺は外用の作業服に着替えようと立ち上がり、1度伸びをして部屋を見回した。すると椅子に座って本を読んでいたアオイがきょとんとした様子で俺の事を見ていた。
｢お水なら井戸や水道から出るよ…？｣
たしかに水道から水は出るし、カズの畑仕事もいつも井戸水を使っている。
だが俺は機織りに使う糸を染める際に、この山の奥に行ったところにある湧き水を使って行っている。
カズは水道水より湧き水の方がなんとなく元気が出るからと言って毎日風呂上がりに冷たいお茶にして飲んでいる。ちなみに女子たちも同様に湧き水のお茶を毎日飲んでいる。
アオイもみんなと一緒にお茶をよく飲んでいたのでその水だと説明した。
俺の説明をうんうんと聞いていたアオイの目が輝いていくのが分かる。
｢私も行ってみたい!｣
アオイは元気いっぱいにそう言って読んでいた本を閉じて立ち上がった。
アオイにきらきらした眼差しを向けられると俺はいつも断れなくなってしまう。
マノンやヒナにも、色んな経験した方がアオイのためになるのではないかという話を少ししていたことがあるので、俺とカズが目を離さなければ特に問題はないだろうと判断した。
｢分かった。じゃあアオイも出来る限り露出の少ない服に着替えてきて。山奥は草や枝がいっぱいで少し危ないからな。｣
アオイは｢分かった!｣と言って元気よく作業場を出て行った。
最近のアオイは初めて会った時には想像できないほど活発になっていた。
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白詰草 - コメントありがとうございます!!多忙なもので更新が遅くて申し訳ないです。スキマ時間で書いていきますので気長にお待ちいただければと思います! (2020年11月30日 16時) (
レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ＠うぇーい教おいしい美茶教(プロフ) - 初めまして…！題名に少しつられてのこのこやってきた者です！オリジナルなので、原作なども読まなくて良いし、どんどん引き込まれます…！ゆっくり更新でも良いので、更新、頑張ってください…！ (2020年11月29日 6時) (レス) id: e02f1d7237 (このIDを非表示/違反報告)
白詰草(プロフ) - コメントありがとうございます!!超スローペースで申し訳ないです。また読みに来て頂けたら嬉しいです! (2019年12月14日 1時) (レス) id: faba208d06 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして！続きが気になって一気読みしました。これからも頑張って下さいっ(*^^*) (2019年12月10日 2時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白詰草 | 作成日時：2019年4月18日 1時
