【HQ】甘い蜜【短編集】 (ページ11)

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【ep.9】白布賢二郎ページ11

コンコン

誰も使わない資料室に、ノックの音が響いた。

「こんな場所に呼び出して、何ですか？」

開けた扉を閉めながら賢二郎が呟いた。

「賢二郎～！」

Aが賢二郎に駆け寄り抱きついた。

「…。」

賢二郎は抱きつかれたまま、ぼーっとしている。

「最近部活ばっかりで全然構ってくれないから、寂しくなった。」

「だからわざわざこんな所に？」

「うん、そうだよ？」

へえ、と賢二郎が返事をしながら、Aの腰に手を回した。

「そんなに寂しかったんですか？」

「うん。」

「じゃあ…そんなに寂しかったら先輩からキス出来ますよね？」

「えっ」

賢二郎がじーっとキスされるのを待つ。

「あれ？出来ないんですか？」

「で、出来るよ！」

Aは軽く賢二郎にキスをした。

「もういいでしょ！」

急に恥ずかしくなったAが賢二郎から顔を背けた。

「え？先輩、今のでもう終わりなんですか？」

顔を背ける私をからかうように賢二郎は静かに笑った。

それと同時に腰に回した手に力を入れ、更にAを引き寄せた。

「終わり！」

どんどん顔を赤くするAに賢二郎は気付き、背けるAの顔にそっとキスをした。

「…先輩にはまだ放置プレイは早すぎたかも知れませんね。」

「私放置プレイされてたの？！」

「え、そうですけど。」

放置プレイされていた事にびっくりして、Aが賢二郎の方に振り向いた。

「相変わらず鈍感ですね。まあ、そういう所が好きで堪んないんですけど。」

さらっと甘い言葉を吐き、次は賢二郎からAにキスをした。

ふたりの間に、いやらしい音が鳴る。

「んっ…」

「…可愛い、先輩」

賢二郎が私の髪を優しく撫でた。

「ね、今度は私が賢二郎に放置プレイしていい？」

「やれるもんならどうぞ？」

賢二郎は意地悪に微笑み、またキスを続けた。