【ヒロアカ】轟兄さん３【男主】 (ページ39)

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番外編　焦凍の縁日ページ39

「縁日…」

下校中に町内会の掲示板に張り出されていたのを見てふと思いたった

そういえば幼いころよく兄さんと来ていた

ここ数年俺も兄さんも忙しくて行く機会がなかったのでふと見たこれを懐かしいと思った

別に縁日自体が好きなわけではない

どこでもよかった。兄さんと一緒に居れるのなら

兄さんと一緒にいれる口実ができるなら、なんだっていい

「あ、兄さん焦凍だけど。

今日の夜…うん

いや、なんでもない大丈夫

仕事頑張って…」

今日も夕方から仕事があるらしい。

ヒーローなんだから忙しいのは当たり前だ

帰ろう。帰路に再び戻るとお囃子の音が聞こえ足が神社に向く

「一人で来たって…何もねぇのに」

俺は何を期待していたのか

周りの家族連れ、友人の笑い声

俺はただ、兄さんの嬉しそうな顔が好きで

花火を見る横顔が好きで

それを見て俺も嬉しかった。

「やっぱり帰ろう」

神社を出るとき腕を急に掴まれる

『焦凍？』

「っ兄さん…何で」

『仕事で見回り、一人できたの？』

「うん、でももう帰る」

『もしかしてさっきの電話、縁日に』

「いい、仕事頑張って」

『焦凍待って』

急に恥ずかしくなった

こんな歳になって兄さんと縁日に来ようとしていたのをこんな形で知られた

手を振り払おうとしてもできない

『焦凍、顔赤いよ』

「見ないで…」

『一緒に回ろうか』

「でも、仕事」

『大丈夫、回りながら見回りすればいいから』

兄さんはいつも俺に優くて、いつも俺を優先してくれる

あぁ、俺は

『焦凍何食べたい？俺がなんでも買ってあげる』

「そば」

『そば…は無いから。焼きそばは？』

「うん。あ、あと金魚すくいもやりたい」

『金魚？うちで飼う？』

「食べる」

『え、えぇええ！？』

「フッ、嘘」

あぁ、俺は兄さんが本当に好きだ

『焦凍、花火！』

「きれい」

『そうだね、久しぶりに見た』

花火色に染まるその横顔

『ん？焦凍何？』

「兄さん、来年も…一緒に来よう」

『俺でいーの？』

かわいい彼女でもできるんじゃ無いなんて笑って話すけど

俺は

「兄さんがいい」