離れないよ、蛸だから【吉田ヒロフミ】 (ページ4)

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「どう考えても俺の方がいいと思うんだよね」

『うん、そうだね』

Aさんの手料理

何度食べたって俺の脳が麻痺するくらい最高の味

「自分で言うのもなんだけどAさんがあまりにもバカだから言うね」

『私バカかな？』

「Aさんみたいな可愛くて綺麗で高嶺の花がさ、なんでそこら辺の雑草…いや、そこら辺のゲロみたいな奴を選ぶの」

『ねぇ、ご飯中なんだけど』

「…俺の方が良いと思わない？どう考えたって」

彼女は少し考えると箸を置いてテーブルに肘をついて頬にその手を添えては俺を見つめる

『どうでも良いから…かな？
その人が死んだって何かあったってどうだっていい。
だからその場の関係だけで済む。これが大事な人とか本気になっちゃったら面倒臭いじゃん』

「それ俺にいう？」

『だってヒロ君が聞いたんだよ？』

「…ごちそうさま」

本気は面倒と言われて俺は席を立ってリビングを出る

少しだけ腹が立った

『ヒロ君』

靴を履いて立ち上がると手に小袋を握らされる

『お弁当作ったから食べてね。いってらっしゃい』

そういうと少し背伸びをした彼女は頬に少しだけ口付ける

この人は本当にずるい人だ

諦めろと示唆する割にこうしてまた惚れさせる

「口にして」

『だめ、そこは好きな子にとっておいてあげなよ』

「だから俺が好きなのは」

『いってらっしゃい。青春しなよ高校生』

ドアを開けられて無理やり外に出される

「…はぁ」