２１ ページ21
「吉田君…」
つまらない。
ふとかけられた声で窓から見える人の流れに向けていた目線を真正面に戻した
通っている高校の制服を着ているからきっとこの子は同じ学校の生徒なのだろう。制服でしかこの目の前の女の情報を得ることができない。
もしかしたらどこかで話したことがあるかもしれないし、どこかで面識があったのかもしれないがその記憶をどうにも自分の中でセーブしていなかったようで覚えていることは何一つない
「何？」
「えっと、何か面白いものでもあった？ずっと…外を見ていたから」
「面白いものと言うより、考え事かな」
どうしてこんな所で知らない女と向かい合わせでコーヒーを飲んでいるのか
そうだ、あの人が自分以外の女と交流しろと言ったからだ。興味もない女と無駄な時間を過ごせと言ったからだ。
「考え事？相談に乗るよ！私で良ければ」
人の流れの中に彼女の姿を探す
今日、少し疲れた顔をしてた。もしかしたらよく眠れていないのかも知れない
一瞬合った目、綺麗で逸らしたく無かった
華奢な体を抱きしめたかった
声も聞きたかった
禁断症状が出始めてもおかしくない。少し前に任務で一月離れていたけれどそれなりに連絡を取っていたし忙しさに紛れていた部分が正直ある
だけど今は違う
「吉田くん？」
あの人が恋しい、あの人が欲しい
あの人の全部を手に入れたい
「Aさん…」
あの人が俺に戻ってきて、と言うまで冷たくしようと思ったけれど
もしもあの人が俺を求めてくれなかったらどうしようとあの人の姿を思い描く
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←２０
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 579人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：要
| 作成日時：2022年12月7日 17時
